「創意工夫の手帳術」では、おもに手帳の使い方や工夫の仕方についてご紹介しました。今回は舞台を「メモ」に移して、メモの役割から、さまざまな使い方までを連載していきます。
手帳が未来の予定と過去の記録を書き込むものだとすれば、メモ帳は現在を書くものだともいえます。たしかに手帳にもメモ欄やメモページがあり、メモを書き込めるようにつくられていることが多いのですが、根本的には手帳とメモ帳ではやや機能が異なっています。
手帳は、未来を見通すとともに、次々と過去になって蓄積されていく記録を振り返るという視点から眺めるものです。つまり、手帳の中には遠い未来から過去(1冊に限っていえばだいたいの場合は1年)までの長い時間があり、その長い時間の中に、個々のイベントを整理していくものだといえるでしょう。
これに対してメモ帳は、もっと刹那的で一時的なものです。突然ひらめいた思いつきやアイデア、急に飛び込んできたアポイント、相手の話の中で忘れてはならないこと・覚えておきたいこと、何の役に立つのかわからないけど気になったもの・ことなどを、瞬時にとらえて記録するものなのです。
もちろん、小型の手帳であれば、ポケットからさっと取り出してそうしたことをメモしてもいいのですが、どんどん何でも書くにはスペースが限られています(小型の手帳であればなおさらです)。その点、メモ帳ならばスペースを気にせずいくらでも書けますし、1枚1件のアイデアであれば、その形のまま発想法で活用することもできます。
むしろメモ帳をポケットに入れることで、手帳はもう少し大きなサイズにすることができる、つまり、手帳とメモ帳を使い分けることによって、さらにそれぞれの可能性を広げることができるわけです。
今回の「創意工夫のメモ術」では、さまざまな場面で活用できるメモのノウハウを網羅的に解説します。「メモをこまめにとる人はなぜ仕事ができるのか」に始まって、メモの取り方の基本、メモをアイデアへ変える発想法、図解の仕方、記号や略語の使い方、メモの活用法などについて、実例を取り混ぜながら具体的に紹介していきます。
メモ上手になると、情報感度が敏感になり、認識や思考、記憶のプロセスが強化されます。メモを上手に活用することで、あなたの仕事と生活の質を高めてください。