教育業界の常識にQuestionを投げかけるメディア

創考喜楽

第6回:「クリエイティブな人」とはただの変人?
~WhyとWhatで「常識」を考える~

COLUMN

前々回に「WhyとWhatを切り分ける」ことでこれまでと変わったものの見方ができることを「朝礼暮改は善か悪か」というテーマでお話しました。今回は「Why/Whatの切り分け」でものの見方が変わるということを別の応用例でご紹介したいと思います。

 

「常識」をWhyとWhatの側面から考えてみる

皆さんは「常識的な人」と聞いてどういう人を思い浮かべるでしょうか?
一般的に常識をわきまえた人というのは、規則やマナーを守る礼儀正しい人ということになるでしょう。ここで一歩踏み込んで、「常識」というものにもWhatのレベルとWhyのレベルがあるのではないかという観点で考察してみます。
「規則」「ルール」「マナー」「礼儀」といった言葉から連想されるのは本連載でいうところのWhat型人間ということになるかと思いますが、実は「常識人」にもこうした「What型常識人」に加えて「Why型常識人」の2種類を想定できるのではないかと思います。What型常識人というのは前述の通り、決まり事やルールといった「What」に忠実な人ということです。これに対してWhy型常識人というのは、目に見えるものではなく「ものの考え方」が常識的だということです。では「ものの考え方」が常識的なWhy型常識人というのはWhat型常識人とどこが違うのでしょうか。
具体的な例を挙げてみます。皆さんはクリエイティブな人、あるいは発想豊かな人といってどういう人を思い浮かべるでしょうか。一般的なイメージとしては、カジュアルな服装でルールが嫌い、言葉遣いもぞんざいで・・・といった、「常識を超越している人」つまり、ある意味「非常識な人」を思い浮かべるのではないでしょうか。しかしながら、単に常識を超越しているだけでは真の「クリエイティブ」なアイデアというのは生み出せないのではないかと思います。

 

クリエイティブな人は「What型非常識人」かつ「Why型常識人」

 

どういうことかを、良いアイデアを生み出すためのステップを2段階に分解することで考えてみたいと思います。【図1】を見て下さい。

 

【図1】良いアイデアを生み出すプロセス

 

ここでは良いアイデアを生み出すための「2ステップ」を示しています。第一に「常識を超える」ような斬新なアイデアを生み出すというプロセスです。ここでは常識や「いまあるもの」にとらわれずに新しい発想を生み出すことが求められるため、ここで必要なのは「What型の非常識」という発想です。
通常はこのプロセス=アイデアを生み出すと考えられがちだと思いますが、実はこれだけでは真に受け入れられるアイデアにはなりません。そのために必要なのが「2番目のプロセス」です。つまり、出てきたアイデアが一般の人に受け入れられるかを検証するということです。どんなに「斬新な」アイデアでもそれがヒットするためには、そのアイデアが結果として多数の人に認められるものであることが必要だからです。
ここが「真のクリエイティブな」アイデアを生み出すためには不可欠です。ここでの必要な考え方というのが「Why型の常識」、つまり一般人に何が受け入れられるかということを十分考慮できるという「極めて普通の」ものの考え方なのです。
「クリエイティブ」とは、Whatの観点からは極めて「非常識」でありながら、Whyというものの考え方から見ると「常識的」であることが求められるということがおわかりでしょうか。WhatもWhyも「非常識」というのは単なる「非常識な人」で終わってしまうことでしょう。

連載一覧

Copyright (C) IEC. All Rights Reserved.