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「いい人」のやめ方

KNOW-HOW

 

外面のいい人ほど不満をため込みやすい

 

 

 機嫌のいい人とは、怒らない人ではありません。腹を立てればその場で怒るし、楽しいときには笑うし、悔しいときには悔しがります。ただ、怒ったり悔しがったりしても、すぐにまた笑顔が戻る人です。後腐れがなくて気性のさっぱりしたところがあります。相手によって態度を変えるようなところもなく、とてもわかりやすい人なのです。

 

 

 その一方で、腹を立てても顔には出さず、低姿勢で印象よく振る舞う人がいます。表向きの人間関係ではいつも「いい人」を演じてしまうタイプです。こういうタイプの人が、実は不満をため込みやすいのです。他人からみればどんなに「いい人」でも、それは外面だけの良さであって、家族のような身内や身近な人間の前では不機嫌な顔をして黙り込んでいることが多いからです。

 

 

 いい人を演じるのは疲れます。腹が立ってもグッと我慢して飲み込み、悔しさを感じても笑ってごまかし、不満があっても気にしない素振りを見せるのですから、毎日毎日、小さな怒りが発散されることもなくたまっていきます。これでは家に帰ると不機嫌になるのも当然です。けれども、家族に当り散らすわけにはいきません。それをやればますます怒りの感情は膨れ上がってしまうし、そもそも八つ当たりですから、気が晴れることはないのです。親しい友人にそれをやれば、大切な人間関係も壊れてしまいます。

 

 

 ではどうすればいいのでしょうか。それは、「いい人」をやめることです。それがいちばん現実的な解決法になります。でも、これが難しいというのは本人がわかっているはずです。他人の前に出るとどうしても気を遣ってしまい、相手に嫌われないように振る舞うからです。

 

 

 

 

 

 

「いい人」のやめ方① 相手より先に自分の要求を口にしてみよう

 

 

 もしあなたが自分の「いい人ぶり」を自覚しているようでしたら、そこから抜け出すために、自分の要求や希望をはっきりと言葉にして伝えることがスタートになります。そして、その要求や希望を相手より先に口にしてみることです。いい人を演じるタイプの人は、相手が要求したことを断われません。断われば気を悪くされる、嫌われると考えますから、どうしても一歩退いてしまうのです。しかも相手には「この人なら反対しないだろう」という思い込みがあるので、最初から自信たっぷりです。仕事や作業の分担でも「ここは私がやってもいいよね」と迫ってきます。スケジュールの確認でも「私は金曜日が都合いいな」と押し付けてきます。

 

 

 

 こうなると何も言えないのがいい人です。「いいですよ」とか「じゃあ金曜日に」と合わせてしまいます。本当は「その仕事は私がやるつもりだったのに」とか「木曜日だといいな」と思っても、相手が先に言ってしまうと言い出せなくなるのです。言い出してもたぶん譲ってしまうでしょう。

 

 

 自分の要求や希望を相手より先に口にすること。これさえもいい人には難しいかもしれません。「図々しいと思われる」とか「偉そうだと思われる」とためらうでしょう。でもまずは、同僚や友人、家族といった身近な関係の中で気楽に試してみてください。連れ立って食事に出かけたときに「回転寿司にしよう!」とか、旅行の計画を立てて「どこがいい」となったら真っ先に「日本海のおいしい魚が食べたい」といった調子です。とにかく誰よりも早く自分の希望を口にしてみることです。

 

 

 するとそこから会話がスタートします。ほかの人もいろいろなことを言い出すかもしれませんが、あなたはもう自分の希望を口にしているのですから互角のスタートです。遠慮することはありません。みんなで「こうしたい」「こっちがいい」と言い合う時間は、それだけで感情の刺激になります。いままでのあなたにそういった感情の刺激があったでしょうか?

 

 

 

「いい人」のやめ方② 自分の好みははっきり言う

 

 

 不満や不平を抱え込みやすいタイプの人は、自分の気持ちをはっきり言わない傾向があります。相手やその場の雰囲気につい合わせてしまい、あとで「私は気が進まなかったのに」とか、「本当はこうしたかったのに」と不機嫌になってしまいます。

 

 

 たとえば誰かと食事に出かけるようなときでも、「おいしいラーメン屋さんがあったな」と思いながら自分からは言い出さず、「何にする?」と相手に尋ねてしまいます。そこで「さっさと済ましたいからハンバーガーでいいかな」と言われると「そうだね」とうなずいてしまうような人です。とてもお人好しなのです。自分の意見を押し付けたりしませんから争いも起こしません。不満があってもそれを口にすることもありません。したがって、周囲の人もこの人の不満には気がつきません。嫌な顔ひとつ見せないのですから、本人も納得ずくなのだと思っています。でもどうでしょうか? その場では嫌な顔をしなくても、あとで不機嫌になることがあります。「ハンバーガーなんて食べたくなかった」とか「一緒に食事に出かけるんじゃなかった」という不満が生まれてきて当然だからです。

 

 

 「おいしいラーメンを食べたい」というのは感情です。ああしたい、こうしたいという気持ちはすべて、それを満たされたときに初めて喜びが生まれます。満たされなければ不満が残ります。その不満が不機嫌を作るのだとすれば、やはり感情は発散させたほうがいいのです。

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