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創考喜楽

05:メモをアイデアへと変える方法②

KNOW-HOW

意外性が意表をつくアイデアを生む

アイデアになりきれない思いつきのひとことメモ、ふと気になったことのメモ。メモをとっていくうちに、そんなメモが溜まっていきます。どうにもモノになりそうにありません。しかし、それを丸めてゴミ箱に放り込むのはちょっと待ってください。新しいアイデアを生み出す可能性はまだ残っています。

 

まったく違うカテゴリーのメモを並べてみましょう。いいアイデアには、驚きがあります。驚きとは意外性です。普通に考えていたら思いつかないようなことです。ならば、普通に考えるのではなく、異質のメモを結びつけてみると、意表を突くアイデアが生まれるかもしれません。

 

まずは偶然に賭けてみましょう。たとえば、企画のために書きためたメモの山と、読書メモのキーワードの山。アトランダムに1枚ずつ選んで並べてみます。落差が大きいほど衝撃度は高いですが、あまりにかけ離れすぎているものはとりつく島がありません。かといって、近過ぎるものには意外性がない。絶妙の組み合わせとなるレベルがあるのです。

 

結びつけるにはイメージの力が必要

 

そうなると、たとえば国語辞典をランダムに開き、目を閉じて指した単語を組み合わせる方法も考えられます。しかし、たしかに母体となる言葉の数は多いのですが、意外にうまくいく確率は低いのです。それはなぜかというと、やはりメモのように、一度自分のアンテナに引っかかった言葉ではないからです。

 

あるキーワードとあるキーワードが結びつくためには、結びつけるための接着剤のようなものが必要です。それはそのキーワードそれぞれの持つイメージがどこかで重なった時に火花を散らせるための、火薬のようなものでもあるといえます。

 

それは編集力と呼んでいいでしょう。メモとメモは勝手に結びつくのではなく、結びつけようとする力が必要なのです。それはメモをとり続けることによって身につけられる力であるのかもしれません。

 

 

古いメモも生きている

私たちの記憶は、頭の中で時間軸をひとつの物差にして管理されています。古い記憶は少しずつ生々しさを失っていきます。思い出そうとして手を伸ばしても、なかなかつかみとれないところに沈んでいきます。しかし、それは完全になくなってしまうわけではありません。ふとした拍子に何かに刺激されて、突然、鮮やかに思い出したりすることは、誰しも経験があるでしょう。

 

古いメモがその刺激の役割を果たすことがあります。思いがけず手にした古いメモが、忘れかけていた記憶を呼び戻すインデックスとなったり、新鮮に輝いて見えたりするのです。昔のアンテナがキャッチしたメモも、まだ生命力を失っていないのです。それどころか、古いメモは、今ならキャッチしない種類のものかもしれません。なぜなら、今のアンテナは感度も方向も変わっていたりするからです。

 

かつて強い関心を持ってキャッチした古いメモを、今、関心を持ってキャッチした新しいメモにつなげてみましょう。それをはあなた自身の感性や思考を、過去と現在で出会わせてみる、統合するということでもあります。

 

私たちの思考は、思っている以上に時間軸に縛られています。それは、記憶など時間を物差しにして管理する方が効率的なことによるものですが、往々にして、ひらめきとは、そうした時間軸を飛び越して、いきなり現れてきます。しかし、それはまったく何もないところから出現するのではなく、一度、何らかの形で自分の記憶の中に刻まれたものなのです。

 

メモの管理についても、カテゴリーや時間軸を取り払うと、より自由な発想を行える可能性が広がってきます。

 

 

「思いがけず」を起こすための工夫

 

アイデアを生み出すための発想法やノウハウについては、さまざまな方法が提案されていますが、「こうすればアイデアがどんどん湧き出てくる」「次々に新しいアイデアが生まれてくる」というような特効薬のような方法は、残念ながらないようです。

 

あたりまえのことのようですが、やはり、アイデアを生み出すためには、その土壌を地道に耕すことが不可欠です。さまざまなものに対して好奇心を持ち、情報や思いつきを逃さずキャッチし、それをメモとして記録し、何度も読み返しては反芻してみる、そんな試行錯誤のなかから、思いがけずアイデアとして浮かび上がってくる時がある、といった具合です。

 

その「思いがけず」を起こりやすくするための工夫として、気分転換をしてみたり、メモを並べてみたり、異質なメモを結びつけたり、メモから時間の枠を取り外してみたり、といったことを行うわけです。

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