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創考喜楽

2020.02.07
INTERVIEW

第4回 SDGsの現在と未来


はじめに

 

 

 前回は「SDGsに取り組むことで生まれるメリット」や「会社や組織の中でSDGsに取り組む流れを生み出す方法」、社内でSDGsへの意識を高めるための対策などを教えて頂きました。

 

 

 最後になる第4回目は、葛西さんから見たSDGsと社会の今後や、私たち一人ひとりが考えるべきことについてお聞きします。これまでのインタビューと合わせて、みなさんのSDGsに対する考えの一助になれば幸いです。

 

 

 

 

インタビュー

 

 

━━葛西さんから見て、現在の日本社会全体のSDGsへの取り組みはどう見えていますか?

 

 

葛西:珍しく……というと上から目線で変ですが「上手にやっているな」という印象です。今までの国際的な動きによく見られた「貧民を救おう」「飢餓をなくそう」という、遠い国に住む「可哀想な人たち」を前面に押し出しているわけではなく、政治家はもちろんのこと一流企業の事業者たちのような「国の上の人」も巻き込んで取り組めていると思います。

 

 

 もちろん先ほどの話(第3回インタビュー参照)にもあったように、SDGsにいざ取り組むにしても視野が狭かったりなど、十分にSDGsを理解しているとは言えない部分はあります。それでもみんながSDGsの達成に向けて動くように、政府は上手に世論を動かしていると思います。全員が100%SDGsを理解するというのは簡単ではないですが、なんとなくのニュアンスで理解して広めていくことで、自治体やメディアの中に「これはやらなければならない」という意識が生まれていくのだと思います。

 

 

 

━━確かに、企業のホームページや自治体の広告、コンビニの張り紙などでもSDGsについての文章やマークを目にする機会は増えていますね。

 

 

葛西:もっともSDGsへの取り組みや意識が、国連や政府の意図した方向に進んでいくかはこれから分かっていくものでしょうし、成果が目に見える形で現れるのもまだまだ先の話だと思います。しかし、SDGsの達成は個々人の努力だけでどうにかすることはできないものです。「FG(※1)」と広い視野で取り組みを続けていく必要があり、そういう意味でも今の日本はSDGsの意識付けやプロモーションを上手にしていると思います。

 

 

 

━━将来的に、SDGs達成のための取り組みはどう変化していくと思いますか?

 

 

葛西:「SDGs達成のための取り組み」ではなく、社会として当たり前の行動になっていくことが理想です。しかし、その過程には「SDGsを受け入れなければならない」時流が出てくるでしょう。その際に「SDGsに貢献していない」という名目で激しいバッシングや非難をする人が出てくることが考えられます。またはSDGsの取り組みが「自分たちの方がSDGsに貢献しているんだ」と、企業同士の潰し合いの材料になる危険性もあります。そのようなことは避けねばなりません。

 

 

 

━━SDGsウォッシュ(※2)など、葛西さんが懸念している未来に繋がりそうな事案は現在でもみられます。最後に。そのような未来にならないためにも、私たちに必要だと思うことはなんだと思いますか?

 

 

葛西:いちばん初めにも話した通りに、SDGsは企業も個人も「自分ごと」として捉えることが必須です。確かにどんな時代であってもお金を稼ぐこと、今目の前の利益を上げることは大事ではあります。それはSDGsという考えがある現代でも変わりはしません。

 

 

 しかし、いつの時代でも「自分が何をしたいのか」をはっきりさせていけば、時代を利用することはできます。SDGsという時代を自分の中に取り込み、利用することで「自分ごととしてのSDGs」を意識できるのではないでしょうか。これはいわば自分をSDGs(Self Development Goals)化する、ということですね。これが重要だと思います。

 

 

※1:「Future Generation」 将来世代からの目線でものを考えるという意味。詳しくは第2回インタビューを参照

※2:SDGsウォッシュ SDGsに取り組んでいるように見えて、実態が伴っていない報告をすること

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