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創考喜楽

2019.12.16
INTERVIEW

第1回 どのようにSDGsに貢献するか


はじめに

 

 

 2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、2030年までに17個の目標達成を目指す、現代社会における大きなムーブメントの一つです。

 

 

 17個ある目標の中には、貧困問題や飢餓などの発展途上国に深く関わる内容の他に、私たちの生活にも深く関係する経済や産業、エネルギー問題なども含まれています。そんなSDGsは既に、対岸の火事などではなく私たち一人一人が「自分ごと」として見なければいけないものだと言えるでしょう。

 

 

 そこで今回は「SDGsについて考える4回の連載」として、SDGsに貢献した活動を行っている一般財団法人PBPCOTTONの代表理事を務める葛西龍也さんにインタビューをしてきました。

 

 

 SDGsが世界に生まれる以前から活動をしてきたという葛西さんから、「SDGsに取り組むとはなにか」を考えるきっかけが生まれればと思います。

 

 

 

インタビュー

 

 

━━早速ですが、どの取り組みに力を入れていますか?

 

 

葛西:SDGsのどの取り組みに力を入れているかということに関しては、17のある目標のうち、15個の目標に関係した活動をしています。例えば貧困地域のコットン農家を支援する際には、有機農法への転換支援だけじゃなく未成年児童の労働禁止や復学支援、カースト制の影響で高等教育を受けられない児童への奨学支援などがあります。

 

 

 元々貧困をなくすために活動しているので、連鎖的に発生する様々な課題に対してただ搾取的な仕事をするのではなく、閑散期の収入向上につながり、かつアパレル産業からの事業委託ができるように刺繍を教えたりなどして、活動自体が産業と技術革新の基盤となるように活動しています。特にインドはカースト制度が根強いので不平等や差別などの問題が常にありますが、そんな中でも高等教育を受けられるルートを確保できるように努力しています。この活動で、カースト制度では下位にいた人が奨学金をもらって大学に進学して、フィールドスタッフとして活躍した後に州政府の役員になった人もいます。

 

 

 目標12にもある「つくる責任 つかう責任」に関しては、私たちが支援しているオーガニックコットンがそれにあてはまります。コットンそのものは農薬の有無で品質に差はありません。それでもあえてオーガニックコットンを選ぶというのは、お客様が有機農法という活動と思想を支持することを意味します。同時に、私たち自身もお客様にオーガニックコットンを売る、買う意味をお伝えしようと常に意識しています。

 

 

 また、現在私たちは企業活動の一部だったものを一般財団法人化させていますが、それにより他の法人を巻き込んで、個々の団体が行っていた活動をより大規模に行うことができるようになりました。

 

 

 

━━なるほど。最後の話は目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」に繋がるものですね。

 

 

葛西:インドの方々には本格的に、支援される対象から、自立的な生産パートナーになっていただきたいと思っているので、財団化も含めてそれを念頭に置いた活動をしています。

 

 

 

━━2030年までにさらなる取り組み計画や、目標はありますか?

 

 

葛西:特にはありません。ですが、10年後には私たちの活動になんらかの形で関与する人が100万人を超えるといいな、と思っています。そのためには、消費者の一人一人の意識が変わっていく事が非常に重要です。例えば物品の購入を判断するときに「これを使うことで地球がどうなるか、他の人がどうなるか」ということに考えが及ぶ人や企業を増やしていきたいと思っています。

 

 

 特に企業については大きな問題で、企業に勤める人というのは何かを判断する際に「社に戻って検討します」と即断できない人が多いです。まず自分の事として、未来の自分たちの子供たちの事として受け止め、それぞれの組織でどうこのことを受け入れられるか、そういう考え方をし、時に即断できる人を増やしたいです。世の中は人口の10%を超えるとトレンドになりやすいので、2030年がSDGsのゴールというのなら世界の人口10%を即断できる人にできたらと思います。

 

 

第2回へつづく

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