コミュニケーションは、言うまでもなく他者との相互理解です。こんな簡単なことがわかっていながら、なぜコミュニケーションはむずかしいのでしょう?考えてみてください。相互理解、つまり他者とじぶんの交流。ひょっとしたら、相手はこうだからとか、じぶんの意見はこうなんだ、と勝手にじぶんだけで思い込んで話をしてはいないでしょうか。しかも、そのじぶんの思い込み、間違ってはいないのでしょうか。
心理学に「ジョハリの窓」という相互理解のための自己分析があります。そこには、Open(自明)、Hidden(秘密)、Blind spot(死角)、Unknown(未知)という4つの窓。
表でおわかりのように、じぶんの知らないじぶんがいます。Blind spotの領域。じぶんでは冷静なつもりでも、他者から見るとカーっときやすい性格と思われている場合。じぶんでは正直と思っていても、他者から見ると隠し事が多い人と思われている場合もある。もし、両者の受け止め方が違えば、当然話はかみ合わなくなり、お互いが不信に思ってしまい、またまた一方的な決め付けをしてしまうでしょう。
また一方、隠しているじぶんがいる。Hiddenの領域。弱点やコンプレックスはできるだけ他者には隠しておこうとする。そこには、もしばれたらじぶんが不利益を受ける、という思いが強いからでしょう。
Openの領域についてはどうか。知り合った最初のころは、出身地・大学、家族のこと、せいぜい趣味などを教えあいます。それは基本的な情報にしかすぎず、その人本人の考え方、価値観などはあまり反映されていません。もし、付き合いを重ねても、そのままの状態なら、相互理解からはほど遠いと言ってさしつかえないでしょう。
だったらどうするか?まず、コミュニケーションをとる相手との関係を、ジョハリの窓を使って配分してみましょう。どの窓がどれくらいのスペースをとっているか。想像ですが、多くの人は下の表のようになっているでしょう。
当然、Unknownの領域が多くのスペースを占めている。また、HiddenやBlind spotの領域も、Openの領域よりもかなり広い。この形の人は要注意です。コミュニケーションにおいて、相互不信に陥っているケースが多い。このバランスを変えない限り、コミュニケーションは悪化をたどることは目に見えています。
ちゃんとしたコミュニケーションがとれている関係は、下のような表になって現れます。何よりも、Openの領域が広い。
つまり、他者とじぶんの思っていることに相違があまりない。こうなれば、どんな難しい問題でも安心して話し合うことができるでしょう。
そのために、いちばん大事なことは自己開示。これしかありません。あまり本音を語らず、表面的なことで済ませている人には、そうそう簡単なことではありません。でも、思いだしてみてください。子供のころ、学校時代。けんかや揉め事を通して、一気に親友ができたことはありませんか。他者に対して作っておいた壁が崩れ落ちる感覚。あれです。
まずは、Iメッセージで始める。あなたがこうだからではなく、私はこう思う、私はこうされると嫌だ。私を主語にしてコミュニケーションする。
他者を警戒するのではなく、受け入れる。そう思えれば、Iメッセージは比較的に楽に行えるはずです。
これが、Openになること。頭でわかっているだけ、口先だけでは,いつまでたってもOpenにはなれません。じぶんから動き出す。そうすれば、相手はきっと応えてくれます。拙書「ある日、ボスがガイジンになったら!?」の48ページ、Openの法則をご覧いただければ、詳しく解説してあります。