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創考喜楽

第4回:まずは疑ってかかること
~「知的好奇心」で思考回路を起動する~

COLUMN

前回は「地頭力の6つの構成要素」についての定義と簡単な説明をしました。

これからの6回はそれらの構成要素の一つ一つを簡単に説明していきたいと思います。

今回は、全てのトリガーとなる「知的好奇心」についてです。

 

はじめに、「地頭力を鍛えるにはまず性格悪くなりましょう」といったら皆さんは意外に思うでしょうか? 実はこれはかなりの部分で真実なのです。

「知的好奇心」といって皆さんがまず思い浮かべるのは、様々なことに興味を持って調べたり勉強したりする心だと思うでしょう。それは間違いではないのですが、実はこの知的好奇心にも2種類あります。それは「What型の好奇心」と「Why型の好奇心」です。

 

まずWhat型の好奇心というのは、文字通り「これはなに?」といった一つ一つのものがなんだろうか? と感じる心です。いわゆる「博学」とか「物知り」の人というのがWhat型好奇心の強い人の代表例です。ただし、What型好奇心だけでは「考える」という思考回路は起動しません。「これはなに?」「○○ですよ」で会話は終わってしまうからです。

 

これに対して地頭力に必要なのはWhy型の好奇心です。文字通りありとあらゆるものに「なぜ?」という理由や背景を問いかけるというのが特徴です。私達は日常触れているものを全て当たり前のものと思ってしまい、いつのまにかその理由を問うたりしなくなってしまいますが、これこそ「思考停止」の兆候です。

 

幼稚園や小学生の時代にもどって、「なぜなぜ?」と問い直してみると、世の中が変わって見えてきます。ただし一般的には「いい大人が」なぜなぜ等と言っていると周りからは煙たがられる存在になります。例えば他人に頼まれたことに「なぜやるんですか?」と聞けば、単純に理由を聞いているのに、不満の表明と取られてしまうことはほぼ確実でしょう。これが冒頭の「性格悪くなりましょう」といった一つの理由です。Why型好奇心にはもう一つ特徴があります。それは「他人の言うことを信用しない」あるいは「天邪鬼になる」ということです。ありのまま他人がいったことや本やインターネットで調べたことをそのまま信用して覚えるWhat型と対比して、Why型の人というのは、いちいちこれを疑ってかかります。これがもう一つの「性格悪くなりましょう」の理由です。

 

ここまでWhat型とWhy型の好奇心というのをお話してきて思い出すことがあります。それは新入社員に対して先輩社員がよくいう「質問できるのはいまのうちだけだよ」という台詞です。これは本当に正しい指導といえるのでしょうか?これもWhat型とWhy型の質問を切り分ける必要があるでしょう。確かにいつまでもWhat型の質問(○○ってなんですか?)を繰り返すのは愚かなことかも知れませんが、Why型の質問(なぜ○○なんでしょうか)というのは、むしろ会社の中で上に行けば行くほど必要な質問で、会社や業界の「常識」を打ち破るための魔法の呪文がWhyなのではないかと思います。
次回は「論理的思考力」についてお話したいと思います。

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