株式会社ギアエイト

 

プランナー
簡 士堯さん

 

札幌でWebサイトのデザイン・構築などを手掛けているギアエイト。同社が開発したニッチな北海道情報を紹介するアプリ「Trippino HOKKAIDO」(タイ語、繁体字中国語、英語に対応)は、ダウンロード数が4万を超えるなど観光客から絶大な支持を得ており、近年はバンコク、チェンマイ、台北などアジアへの拠点ネットワークを拡げています。その大人気アプリ制作に携わる台湾出身の簡士堯さんに、インバウンドビジネスのプロからみた北海道の魅力や課題についてお話を伺いました。

 

北海道人気は「雪」「花」「グルメ」

2015年に来日し、名門・北海道大学の大学院で学んだ経歴を持つ簡さんは、来日以前にも全国各地を回ったリピーターだったそう。そんなわけで、他地域と北海道の比較というアプローチからも、北海道の長所・短所を客観的に分析できるといえるでしょう。

 

「台湾人が北海道に憧れを抱いているのは、まずたくさんの雪が降ること。台湾では3000㍍級の高山の山頂にしか降りませんからね。そして夏はラベンダーなどの花々。九州と同じくらいの面積しかない台湾には、広大な原野を花が彩るといった風景がないので、そんな北海道らしさに魅かれるのです」

 

そして、観光客のみならず道産子も大好きな山海のグルメ。特にカニとメロンを楽しみにしている人が多いそうです。

 

「以前、台湾で北海道直輸入のタラバガニを食べたのですが、1パイ8000元(約2万8千円)もするんです。北海道だと8000円で食べられますからね」

 

グルメに関して意外だったのは、十勝の小豆の知名度が高いこと。メロン=夕張と同じように、小豆=十勝と広く認識されているのだとか。以前、帯広で観光農場を手掛ける社長を取材した際、「外国人観光客の間で北海道は知られていても、十勝を知っている人はほとんどいないんですよ」と嘆いていたので、この小豆人気を知ったら地元の人は大喜びするに違いありません。

 

北海道だけツアー比率が高い理由とは――

台湾からの直行便も就航し、ますます身近になった北海道ですが、簡さんは二次交通の不便さを指摘します。

 

「観光地へ向かうバスの乗り換えなどは、大きな駅でも日本語と簡単な英語表記しかなく、分かりにくいと感じます。バスの本数も少ないですしね」

 

最近はFIT(個人旅行者)が主流になっており、特に台湾はその傾向が強いのですが、北海道に関しては依然としてツアー形式の割合が高いといいます。それは簡さんが指摘したように、広大なエリアを自由に動き回る環境が整っていないから。また、個人旅行には欠かせないWi-Fiについても、

 

「(使えたとしても)パスワードの設定などが面倒なうえ、Wi-Fiがあるのかどうかも表示していないケースも目立ちます」

 

といった問題があり、これでは簡さんのように流暢な日本語を話せる人以外はストレスを感じてしまうでしょう。台湾へ行くと、どこでもWi-Fiがつながり、しかもその速さに驚かされます。もっとも、アジアでは当たり前の状況に驚いてしまうのは、日本がWi-Fi後進国であることの証明なのですが。

 

最後に今後の目標を伺うと、

 

「しばらくは大好きな北海道で頑張るつもりです。祖国のみなさんに北海道の魅力をもっと広く伝えていきたいですね」

 

と力強く答えてくれた簡さん。

 

タイはフェイスブック、台湾はブログと、好まれるツールは異なるそうですが、いずれにせよ簡さんの並々ならぬ「北海道愛」は必ず多くの人の心に届くはず。進化を続けてきた「Trippino HOKKAIDO」は、今後、さらにインドネシア語、ベトナム語、クメール語(カンボジア)にも対応していく予定とのことで、道産子の筆者としては、もう期待感しかありません!

 

 

取材協力

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