物騒なタイトルで始めましたが、仕事をする上で、人として成長する上で、最も重要なひとつがコミュニケーションである、という思いからあえてつけました。
コミュニケーションがなってない、コミュニケーション不足だ、こんな声を聞かない日がないくらいコミュニケーションは仕事の中心にいます。じゃあ、コミュニケーションって何ですか? という、この質問にあなたはきちんと答えられるでしょうか?
伝えること? 共有すること? 仲良くなること? 説得すること? 理解しあうこと?
もちろん、すべて正解。裏返して言えば、これだけ多岐にわたっていることでもあります。 コミュニケーションは、コミュニケーションのひとことで片付けられるほど簡単なことではないのです。
アメリカ・ハーバード大学教授クリス・アージリスさんのコミュニケーション理論のひとつに、Ladder of inference(思い込みの梯子)というものがあります。
それは私たちが日ごろ受け取っている認識は、必ずしも真実とはいえない、というもの。つまり多くの場合、なにか出来事が起こった時、私たちはじぶんの価値観、経験に基づいて思い込んでいるのです。
たとえば、Aさんが会議に30分遅れてきましたが、何も言い訳をしませんでした。というのも、会議を仕切っているBさんは、家庭の事情に仕事が左右されるのを好まないのを知っていたからです。それを知ってか知らずにか、BさんはAさんを無視しました。
それでAさんはこう思いました。Bさんは他の人にはこんなに冷たくない、とにかく仕事ばっかりしているヤツが好きなんだろうな。家族を大事にするヤツは、いくら能力があっても優遇されないんだ。ほんとはこの仕事、俺が仕切ってもよかったのに。
Bさんはこう思いました。 Aさんは遅れてきても何も言わない、あせってもいない、他の会議で遅れたって話も聞かないし、私が仕切っているのが気に入らないんだ。私のリーダーシップに疑問があるなら、この仕事に入ってもらわなくてもいい。
こうして、Aさんはその仕事からはずされてしまった。 似たような例はたくさんあるでしょう。
まず、AさんもBさんも、遅れてきたという事実から、
多くの人は、だいたいこんなプロセスで、出来事に対して判断、結論づけています。まるで、梯子を1段1段上るようにして、じぶんの行動を決めています。教授の理論は詳しくは7段階に分かれていますが、ざっと、こんな感じです。思い込みがいかに自分勝手な行動をさせているか、そして悲劇を生んでいるか、がおわかりいただけると思います。
相手を理解するコミュニケーション。
そのためにはまず誰に対してでもオープンな態度で臨む。これしかありません。
“ ある日、ボスが外人になったら!?”(拙書)の48ページ:オープンの法則をご覧いただけるとご理解いただけると思います。
コミュニケーション、それこそがすべてを解決する糸口。そう信じてください。