「幸福学」研究を通して、幸せになるための要因として「幸せの四つの因子」が導き出されています。この四つの因子を抑え、脳が自然に幸せを目指すようになるメカニズムを理解しましょう。
これまで見てきたように、幸せになるための要因は数多くありました。では、どの要因を満たしていれば幸せになれるのか、あるいはすべてを満たさないと幸せにはなれないのか、それについてはここから説明していきます。
幸せの要因の中でも、健康や結婚といった外部要因は除いて、心に関係する幸せとはどのような構造になっているのかを調べました。
その方法は、過去の幸福研究から幸せに関連する項目を徹底的に洗い出し、29 項目87 個の質問にして、15 ~ 79 歳の1,500 人にアンケート調査を行い、その結果をコンピュータにかけて多変量解析(因子分析)をしました。その結果、導き出したのが「幸せの四つの因子」です。
この四つの因子と幸福感がどう関係するのかについては、アンケート調査を行った1,500 人をクラスター分析という方法で分類したところ、すべての因子を満たしている人が最も幸福感が高いという結果が出ました。幸せな人はどの因子も高く、逆に不幸な人はどの因子も弱いのです。
では、実際にあなたはどれぐらいこれらの因子を満たしているのかを、測定してみましょう。
以下の各質問にどの程度当てはまるか、7段階で評価し、合計点を出してください。
全く当てはまらない・・・・1点
ほとんど当てはまらない・・2点
あまり当てはまらない・・・3点
どちらともいえない ・・・4点
少し当てはまる・・・・・・5点
かなり当てはまる・・・・・6点
非常によく当てはまる・・・7点
● 1 と2 の合計を出してください
● 3 と4 の合計を出してください
● 5 と6 の合計を出してください
● 7 と8 の合計を出してください
あなたが高い因子、または低い因子は何でしたか?
自分自身の特徴を頭に入れておきましょう。
これらの因子の、具体的な内容を確認しましょう。
「ありがとう!」因子
特徴
「ありがとう!」因子とは、人を喜ばせることが好きで、私を愛してくれる人がいて、感謝する人がたくさんいる。そして、人に親切にしているという人の特徴を表した因子です。つまり、他人と心を通わせる関係を築けている人が幸福感を得られるということです。
「なんとかなる!」因子
特徴
「なんとかなる!」因子とは、幸せになるには、楽観性が重要だということです。自己実現や成長を目指すときも、楽観的で前向きであることは重要です。もっと言えば、楽観的に構えていられれば、「自己実現と成長の因子」、「つながりと感謝の因子」が多少不足していても、「そのうちなんとかなるさ」と、気にならなくなります。
「あなたらしく!」因子
特徴
「あなたらしく!」因子は、他人と自分を比較しない傾向や、他人の目を気にせずに、自分をしっかりと持っている人の特徴を表した因子です。マイペースでいられる人とも言えます。
この因子が備わっていることは、幸せになるために重要なことです。人は他人と比較しやすい地位やお金につい目が向いてしまい、目標を見誤りがちです。それは、どうしても他人の目が気になってしまうからなのかもしれません。
しかし、自分は自分、どのようなことも自分の責任としてとらえ、行動することができると、フォーカシング・イリュージョンに陥りそうな自分を抑えることができます。
逆に、この因子が備わっていないと、たとえば、自己実現と成長によって幸せを目指すときに、「同期入社の誰よりも早く出世する」といった間違った目標を立てて、不幸せになってしまうかもしれません。あくまでも、あなたはあなたらしく、人の目などは気にせず、自分のペースで幸せに向かうことが大切であるということです。
「やってみよう!」因子
特徴
「やってみよう!因子」とは、自分は有能で、社会の要請に応え、成長に満ちていて、自己実現しているという人の特徴を表した因子ということです。自分の「強み」を把握しているかどうかということと、その強みを社会で活かすために活動をし、自分の目標に向かって学習し、挑戦していると幸福感を得られるということです。
幸福感が高い人は、「ありがとう!」因子、「なんとかなる!」因子、「あなたらしく!」因子、「やってみよう!」因子を揃えています。
それぞれの因子の特徴を理解し、あなたに足りていない性質を把握しておきましょう。
次回からは、「幸せの四つの因子」を伸ばす方法を紹介していきます。四つの因子をバランスよく身につけ、充実した仕事や人生のために役立ててください。