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創考喜楽

研修受講生は、なにを不満に思っている?

担当者の悩み・受講生の本音 SURVEY

 

この記事のまとめ

  • 受講生の不満は「研修内容」に関する項目が上位。それぞれ20%近い回答率を得る。
  • 【階層別研修】では、担当者と受講生の不満トップの間で”捻じれ現象”が発生。
  • 「研修の実用度」に関する項目は、過去調査と比べて不満が半減。
  • 満足度アップのために望まれる、具体的な施策や工夫とは?

 

 

研修内容が不満--その具体的な理由は?

 

担当者Xは、頭痛を感じていた。

 

昼休み。社内食堂のテーブルでのこと。
目の前に置かれているのは、某教育会社が実施した『研修実態調査』の結果である。
そのなかにある【不満の理由-受講者の不満の理由】の項に記された内容を見てのことだ。

 

その日の午前中、研修満足度に関する厳しい現実を突きつけられた彼は、

昼食を摂って心を落ち着けた後、更なる深淵へ迫るべく、再び調査資料を手にしたのである。

 

そして、その深淵のまだ入口くらいのところで、早くも逆風に晒されたのだ。

 

調査結果に記されていた受講生の〔不満〕のトップは「フォローがない/やりっぱなし」
次いで「非現実的/役に立たない」「簡単すぎる/当たり前」など、研修内容に関する項目が上位に並んでいた。

 

 

 

 

にわかに胃の辺りが痛みを訴えてくるのは、果たして昼食に選んだ激辛坦々麺のせいなのか、あるいは別の理由からなのか。

 

担当者X

この結果は、研修の目的による部分も大きいだろうな。

 

担当者Xは、マイナス思考に身を絡められることなく、客観的な分析を試みる。

 

たとえば、基礎知識を習得するような目的の研修であれば、手厚いフォローは必要としなかったり、実務とはやや離れた内容を扱う場合もある。
共通認識を作るためには理解度の低い側に合わせる必要があり、その場合は人によっては簡単すぎる。

 

担当者X

問題は、そうした目的や意図が、ちゃんと伝わっているかどうか‥か。

 

目的や意図が理解されていれば、不満を抱くことも少なくなるだろう。
研修実施に際してどのように伝達するのかが、この不満を大きく左右すると、彼は考えた。

 

担当者X

実施前に原因があるものとしては、これも同じだな。

 

次に担当者Xが注目したのは「受講生のモチベーションのばらつきが大きかった」という項目である。
全体で第4位なのだが、30代に限れば、男性は第2位、女性は第3位に順位をあげている。

 

 

 

 

30代という年代は、人によって仕事の立場や役割、意欲に変化が出てくる時期であり、それがそのままモチベーションに影響を与えているのだと考えられた。
当然、そうした人たちを、同じ年代・年次だからとまとめて研修を行えば、不満は出てくるであろう。

 

これらの要因は、教育担当者側に責を置くものである。
研修内容にばかり気を捉われず、どう企画・運営するかが重要であると読み取れた。

 

 

 

【階層別研修】に現れる、担当者と受講生の”捻じれ現象”。

 

担当者X

悩みは尽きないものだ‥

 

食後のコーヒーが、普段より苦く感じられた。

 

後輩Y

あ、さっきの調査の続きですね? 私にも見せてください!

 

沈鬱した気分を破る声の主は、同じ部署で働く後輩Yである。
彼女も昼食に食堂を訪れていたようで、手にしたトレイをテーブルに置いて、担当者Xの向かいに着席した。

 

担当者Xは、あまり気が進まなかったが、彼女の求めに応じて、受講生の〔不満〕に関する調査結果をかいつまんで説明した。

 

後輩Y

ちょっと意外ですね。私てっきり、もっと別の不満があるのかと思ってました。

 

後輩Y曰く、彼女が想像していた受講生の〔不満〕とは、忙しい中で研修に呼び出されることへの〔不満〕など、環境的な要因が大きかったという。

 

後輩Y

数字、数字!なんて頭ごなしに言われてるなかで、1日も職場を離れるなんて大変ですからね。

 

彼女のその意見は、調査票からも裏付けられるものであった。

 

 

 

 

担当者Xが注目したのは【階層別研修】における調査結果である。
担当者側が想定する〔不満〕と、実際に受講生が感じている〔不満〕。2つの数字を見比べる。

 

 

 

 

担当者X

私たちは大きな思い違いをしているのかもしれないな。

 

「業務の忙しさ」を気にする担当者と、「やりっぱなし」を嘆く受講生
考えようによっては、真反対ともいえる理由である。
業務を気にして研修負担を減らすほどに、受講生は不満を高めているのかもしれない

 

後輩Y

やるからにはちゃんとやりたいって、そういうことですかね。

 

担当者X

至極当然のことではあるが、見落としていたことかもしれない。

 

受講生の多くにおいて、業務が忙しいことに変わりはない。
なんでもかんでも時間をかけて、手厚く行えばよいというものでもないのは確かだ。
一方で、研修に対する受講生の期待も存在することは確かである。

 

担当者X

思い込みが一番の敵か‥

 

調査票に目をやりながら、担当者Xは、苦みだけが残ったコーヒーを飲みほした。

 

 

 

「研修の実用度」は改善傾向にある?!

 

後輩Y

ほらほら、あんまり難しい顔ばかりしてると、良い部分を見落としちゃいますよ!

 

担当者Xを元気づけようと、後輩Yは明るい声で言った。
彼女が指し示すのは、担当者Xがはじめに見ていた受講生の〔不満〕に関する資料である。

 

後輩Y

このあたりの項目は、ずいぶん不満が下がっているじゃないですかす。

 

 

 

 

調査結果全体の傾向として、以前の調査に比べると〔不満〕の比率は下がっている
そのなかでも、「非現実的/役に立たない」「実際の業務と関係ない」の2つの項目は半減していた。

 

「研修の実用度」に関するこれらへの〔不満〕が減少しているということは、「研修が役立っている」という結果に、少しずつでも近づいていることを示唆する。
問題や課題はまだまだ残っているが、教育担当者たちの歩みは、決して間違ってはいなかった。

 

担当者X

改善しているとはいえ、まだ〔不満〕の上位に残っているのだから、楽観するわけにはいかないがな。

 

 

後輩Y

相変わらずストイックですね。あんまり思い詰めてばかりいると、身体を壊しちゃいます! それに、難しい顔して考えた研修企画で、受講生が明るい顔なんてしてくれませんって!

 

後輩Yは、担当者Xをからかうように笑った。

 

彼女の発言内容は、確かな因果を伴うものなのか、その調査結果は存在しない。
ただ、彼女を見ていると、なぜだかわからないが、幾ばくかの真理を突いているようにも感じられた。

 

後輩Y

じゃあ、午後の準備があるので、先に戻ってますね!

 

普段通りの元気な様子で去っていく後輩Yを見送りながら、担当者Xは、いつの間にか胃の痛みが消えていたことに気が付いた。

 

 

 

次回予告

後輩Yに励まされながら、研修企画の改善に着手する担当者X。
受講生の〔満足度〕を高めるために理解すべき「受講生の期待」とは、
教育担当者にとっての福音となり得るものなのか。

 

次回の記事へ--つづく。

 

 

 

〇お問い合わせ
本記事は、株式会社アイ・イーシーが2017-2018年に実施した「研修実態調査」の結果をもとに作成しています。より良い研修プログラムをご検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

 

株式会社アイ・イーシー 企画開発部 研修開発室

Tel:03-3263-3306  Mail:kensyuteam@iec.co.jp

 

2018年10月20日 公開

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