■今日の事例 :同じ内容のメールを複数の宛先(TOやcc)に一括送信した事例

B社は複数メーカーから部品の下請けをしている。

取引しているメーカーの業界は競争が激しく、メーカー毎の製品に合わせて特注で部品を作って納品している。

 

B社の営業である社員Cは、3社の企業を担当していたが、この4月に人事異動になった為、お世話になったメーカー担当窓口の方々に取り急ぎの連絡として離任の挨拶メールを送った。

しかし、社員Cは3社の担当者を宛先として一括してメールを送った為、3社にはB社が同業他社とも取引していることが分かってしまった。(bcc扱いとして送らなかった)

 

 

■考察 :何がいけなかったのか考えてみましょう!

「今日の事例」は同胞メール(複数宛先の一括送信メール)がテーマです。

同じ内容を複数の人に送る場合、同胞形式で一斉メールを送ることはよくありますが、この同胞形式のメールについてはリスクが潜んでいます。

 

同胞形式が便利であるのは送る側の論理であり、「メールを受信する側の立場ではどうか?」ということを考える必要があります。

 

 

まず、問題となるポイントについて見てみます。

 

①同胞メール形式でメールを送ったこと

>情報を共有し合う間柄でない場合で一斉メール配信する場合は、bcc扱いとして、お互いにメールアドレスが分からないようにする必要あり 

 

②競合する企業に関して同一の担当者であったこと

>部品の種類や発注状況で各社の販売動向や戦略が判ることもある為、競合する企業の受注をする場合は、担当者を分けるなどの工夫が必要 

 

 

 

■対処 :同胞メールに関する対応

今回の事例のように、メールを送る際に注意しておきたいことはいくつかあると思います。上記のリスクポイントを含めて、メールを送信する際に事故が発生する可能性を少しでも少なくする方法を考えてみて下さい。

 

 

 

■結果 :今回の情報漏えいによって発生すること

今回の事例で、情報が漏えいした結果はどうなるしょうか?

 

・個人情報保護違反

メールアドレスがフルネームである場合は個人情報に該当する為、お互い関係の無い他社にメアドが開示されたことにより、厳密に言えば「個人情報の同意なき開示」にあたる可能性あり

 

・競合他社との取引が判明したことにより

→ 信用の失墜

→ 機密情報漏えい懸念から取引停止

 

今回の事例は、同胞メールに内在するリスクがテーマです。直接的な競合企業でなくても、契約関係にあることを表明することはリスクに繋がりますので、社外へのメール送信に関して、会社としてのリスクは何か?について今一度考えてみて下さい。

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