今回は、実際に日々の仕事や生活の中でアナロジー思考の「ネタ」をどうやって見つけていくかについてご紹介します。
最近のビジネスにおけるトレンドを表すキーワードの一つに「ゲーミフィケーション」(Gamification)が挙げられます。これは文字通り、様々な対象物を「ゲーム化」してしまおうという動きです。小さいときからポータブルなゲームマシンで育った20-30代のみならず「インベーダーゲーム」等のゲームセンターで育った40代も含めてビジネス界の中心となっている世代は多かれ少なかれ思考回路に「ゲーム的な」要素が入っているために、例えば企業研修や買い物等、様々な場面にゲームの考え方を取り入れてユーザに親しみやすくさせる動きが広がっているということです。
これは「親しみやすい世界を他の異なる世界に適用する」というアナロジー思考の典型的な応用例といえます。「ありとあらゆるものを◯◯の視点で考えてみる」のが、アナロジー思考の考え方ですから、具体的な適用の仕方のわかりやすい例と言えるでしょう。
「ゲーム化」を考える上でも、応用範囲を広げるためのポイントは、「特徴を抽象化して考える」ということです。ゲームの直接的かつ具体的な見た目から言えばすぐに適用できる分野は限られますが、例えば「勝負が決まる」とか、「点数を競い合う」とか「駆け引きが重要」といった形で一般化すると往々範囲が広がります。
今度はもう一つ上位レベルで「ゲーミフィケーション」という行為そのものをアナロジー思考の対象として、「◯◯化」(○○フィケーション)というものが他のものにもあてはめられないかと考えてみます。ここで対象となるものの条件は、ゲームと同様に①誰にもなじみがあって、②わかりやすいとがった特徴(単に見た目ではなくて、関係性やシステムという点での特徴が望ましい)によって人気があることです。それだけなら身の回りにいくらでもあることがわかるでしょう。
例えばホテルによくある「バイキング料理」を考えてみます。特徴を一般化した言葉で表現すれば、「制限時間内で様々な種類のものを取り放題」ということでしょう。これを「バイキンギフィケーション」ということで、自分の身近の様々なものにあてはめれば、いろいろなバリエーションを生み出せることがわかるでしょう。例えば一昔前に流行った福利厚生の「カフェテリアプラン」というのはまさにここから来ている発想です。
また、「制限時間内」という特徴を「あるリソースの制約の範囲内で」とさらに一般化(時間→リソース)すれば、「ある金額の中での取り放題」、あるいは「ある人材の中で取り放題」という発想にまで広げることができますから、例えば商品販売や組織の運営にも適用することも可能となるでしょう。
この他にも「バイキング」の代わりに「福袋」や「コンビニ」や「水戸黄門」等、その言葉を聞いただけで誰でも特徴がすぐに連想されるようなものはいくらでもありますね。