企画開発部(情報システム部)
Gap Graphは、ユーザーの“感じ方”をデータとして集めることを目的とした今までに無いWebツールです。映像を見て感じたことを投票してもらい、それを見える化する仕組みです。これを最大限に活かすテーマとして、第一弾は「ハラスメント」を扱います。
動画を見て感じた「この言動は嫌だな!」というものを、それぞれの感覚で投票してもらいます。集めたデータは数値化されて比較できるようになっているので、自分と周りの人との感覚の違いを知る体験ができます。
動画を見ながらなので頭で考える回答ではなく、直感的な回答が得やすく、ユーザーそれぞれの本音(価値観)を可視化できるサービスです。人によって捉え方が異なるハラスメントのような問題の傾向を知るのにとても役立つツールです。
Gap Graphには“インタラクティブ動画”というシステムを使っているのですが、あるメンバーが「これ面白そう」と持ち込んだのがはじまりです。他のメンバーも体験してみて「これは面白そうだ!」と意見が一致しました。そこからすぐにアイデア出しが始まりました。インタラクティブ動画は様々な使い方ができるので、設計次第でユーザー体験も変わります。
たくさんのアイデアが出ましたが、アイ・イーシー(以下、IEC)らしくユニークなものばかり。とりわけ、「今までにない体験を提供したい」、「普通の教育じゃつまらない」、「ユーザーに楽しく学んでほしい」という点は、全員が共通してアイデアに想いを込めていたと感じます。
ベンダーから「今までやったことのない試みで、面白そうですね」と評価をもらえたのは素直に嬉しかったですし、サービスへの期待も膨らみました。ただ、プロジェクトを進めると私の手に余る問題が次々に出てきてしまったので、できる限りそれぞれに得意な役割を担ってもらいました。
動画撮影の制作進行はベンダーに担当してもらい、システム構築は社内の情報システム部のメンバーが先頭に立ち、お客さまへのアプローチは営業メンバーに知恵を借りました。結果的に今では社内のほとんどの部署を巻き込み、それぞれからメンバーが参加する形となっています。
ハラスメントのように答えが不明瞭で、解釈が分かれるようなテーマにチャレンジしているので、難しいことばかりでした。特に動画表現にはとても気を配りました。例えば計測においては個人の本音を探ることが目的なので、見る人によって解釈の幅があった方がいいわけです。そういった点をどう演出するかは試行錯誤でしたね。
シナリオ作りももちろんですが、撮影現場では監督さんや役者さんにも粘り強く協力してもらって、なんとか形にしました。
ここは今後も完成度を高めていきたいポイントです。他にも、データ分析やユーザー管理をするシステムは一から制作したので、つくりながら「ここは変えたい」、「この機能が欲しい」、「ここはいらないかも?」みたいなことは日常茶飯事でした。
ハラスメント研修は私たちも教育会社として提供しています。ただその多くは座学のため、人によっては自分ごととして捉えるのが難しいこともあるのではないか、という疑問はずっとありました。ハラスメントのような複雑な問題こそ当事者意識を持つことが重要となるはずです。Gap Graphはそこを克服できるツールとして、これまでのハラスメント教育の在り方を変えられるのではないかと考えています。
映像を通してハラスメントを身近に感じ、自分を比較対象とする体験は、当事者意識を持ってハラスメントを考えるきっかけになるはずです。また、体験後には共通話題として周囲の人とのコミュニケーションのきっかけにもなるので、身近な人の価値観を知る機会にもなると期待しています。これからは、Gap Graphとハラスメント研修がセットとして実施されることが世の中のスタンダードになるといいなと思っています。
テスト段階では、多くのお客さまにデモ体験をしていただきましたが、期待する声をたくさんいただけたのはすごく励みになりました。ありがたいことにサービスへのご指摘ももらえたので、それらの改善によって品質を高めることもできました。改善点はこれからも出てくると思うので、こうしたコメントは真摯に受け止めて、Gap Graphの体験を特別なものにしていきたいですね。
今後は動画をたくさん作ったり、広告やSNSを使って認知度を上げたりして、たくさんの人にGap Graphを体験してもらいたいです。そのためにはやることがまだまだ山積みなので、一つひとつ課題をクリアしながら、多くの方に「面白かった」「役に立った」といってもらえるサービスにしていきたいです。