げきりんにふれる・・・・・ |
伝説の神獣である竜の顎の下に、逆になって鱗が生えていて、そこに触れると竜が怒り、禁を犯した人を殺したと伝えられていたことからこの言葉か生まれたとのことです。
竜は帝王の代表ともいわれる神獣ですから、「逆鱗」は「帝王が、一番がタッチしてほしくない弱点」と同意味と考えてよい訳です。
韓非子の「説難」の中に「人主もまた逆鱗あり。説くもの、よく人主の逆鱗に嬰るることなくんば、則ち幾からん」とあり、このことをよく説明しています。つまり、「人の上に立つ人も竜と同じように逆鱗を持っている。したがって、その人の逆鱗に触れないように、うまく説得できれば成功に近いといえるだろう」といっているのです。
現代社会では「逆鱗」はやや意味をやわらげ、通俗化して使われているようです。中間管理層やご婦人にまでこの言葉を使い、「課長の逆鱗にふれた」とか、「女房の逆鱗を逆なでした」などといったりします。逆鱗は帝王のものだけではなくなったようです。
「人の弱点をついたり、アキレス腱のようなところを痛めつけたりしないように注意しなければならない」という教えは、人生を送るうえでたしかに有効でしょう。
しかし、一般にみていると、意識的でなく、知らぬ間に人を傷つけてしまっていることが少なからずあるようです。そのようなことがないように、「なにがその人にとって触れられたくない点か」というポイントをよく知っておく必要があります。
例をいくつかあげてみましょう。
1)出生の秘密や育った環境
2)生まれつきの身体上の特徴や欠陥
3)家族や親戚の内内の事情
4)やや過大に公表している学歴
などです。どれを見ても、一身上のことで、しかも矯正不可能とか、努力によってなおすことができないものが多いようです。
学歴については、旧制、新制の改正時のもの、夜間部、専門部、学校名の改変などなかなか複雑で、またそれに拘ることもないように思えるのですが、「学歴に関する一切の会話はタブー」になっている経営者も見られます。
上記以外にも、会社の秘密に関することや経営陣の女性問題などには、知っていてもタッチしない方が無難といえましょう。また、正しいアドバイスや経営の提言といって声高に進言しても、一般的にいって厳しい内容については、周囲の反発を招くことはあっても、トップの耳にはなかなかスンナリと入らないものです。