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Engagement is on the RIse /
上昇傾向にあるエンプロイー・エンゲージメント |
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■エンゲージメントレベルは企業業績に影響
米国企業とその従業員とのエンゲージメントレベルは現在上昇傾向にある。コンサルティング企業のTemkin Group/テムキングループ社が全米の2,400人を対象に行った調査「Employee Engagemnet Benchmark Study 2013」では、自分自身が会社と適度に、あるいは高度にエンゲージしていると考える人の割合は57%であり、前年比で10%も上昇したことが報告されている。ある程度までは好調な米国経済がその背景にあると考えられるが、多くの米国企業がエンプロイー・エンゲージメントを向上させることが企業業績の向上につながる、と考え行動するようになっていることも指摘されるようになった。
業種別に見て上昇率の高いのはサービス産業である。(ただし小売業はその例外になっているが・・・)そしてエンゲージメントのレベルの高い従業員のステレオタイプとしては、企業の最前線で顧客と接しているような職種についていて、比較的高給待遇を受けており、女性よりも男性、そして白人よりもアフリカ系アメリカ人、という特徴があげられる。
またエンゲージメントレベルの高い従業員は企業と顧客とのエンゲージメントも強化することがデータから明確になってきた。特に、企業と顧客との接点において従業員が大きな役割を担うような職種に関しては、そうした傾向が顕著にあらわれている。
■エンゲージメントのレベルは零細企業<大企業<中小企業
その他、今回の調査から特筆すべき結果としてあげられることを、調査レポートの中から以下抜き出してみる。
*業績の良い企業に所属する従業員の75%が、自分自身は会社としっかりエンゲージしていると考えているが、業績の悪い企業においてその割合は47%にまで低下する。
*顧客満足度の評価において平均以上とされる企業では、従業員が会社とエンゲージしていると考える割合は75%だが、平均以下とされる企業においては34%でしかない。つまりより良い顧客体験を提供している企業の従業員は、自らも企業としっかりエンゲージしているということになる。
*前述したように、全般的に米国の従業員のエンゲージメントのレベルは上昇傾向にある。しかし企業のサイズ別にそのレベルを見てみると、そこには複雑な状況が見えてくる。従業員が100人以下の中小企業では従業員のエンゲージメントのレベルは60%だが、従業員1万人以上の大企業においてそのレベルは48%である。つまり大企業よりも中小企業の方がエンゲージメントレベルは高いということになる。しかし小さな企業であれば良いのかというとそうではなく、従業員10人以下の零細企業においてはエンゲージメントレベルは逆に低下する傾向を見せる。
*顧客体験の評価において平均以下の企業に現在勤務しており、他社への転職を計画していると答えた従業員の比率は、顧客体験評価が平均以上の企業の従業員の2倍にも達している。
*自らが社内で携わっている業務に関係して、何かしら行うべきことがあるような場合、また誰に頼まれたわけでもないが同僚の仕事をサポートするような場合、あるいは期待されていないことであっても会社のために何かをしなければならないというような場合、企業としっかりエンゲージしている従業員が自主的に残業する可能性は、エンゲージしていない従業員の2倍以上になる。
*業務の改善点を従業員自身が企業に提案する可能性も、エンゲージしている従業員はそうでない従業員の約3倍高い。
*友人や知人に対して、自分が現在働いている企業を就職先として推薦する可能性は、エンゲージしている従業員はそうでない従業員の約6倍高い。
*業種別に見た場合にエンプロイー・エンゲージメントのレベルが高いのは(弁護士や税理士などの)プロフェッショナルサービスや建設業である。その逆に最も低いのは、旅行業界と流通業界である。
■五つの「 I 」
この調査からは、業績の良い企業のエンプロイー・エンゲージメントのレベルは、そうでない企業よりも高いことが見えてくる。これは至極当たり前の話だが、エンプロイー・エンゲージメントの高い従業員の多く働いている企業は、そうでない従業員が働く企業よりも良い業績を達成できる。高度に企業とエンゲージしている従業員は、良く働き、自ら様々な提案を行い、他の従業員を助け、病欠する可能性も低いからだ。
ではどのようにして従業員のエンゲージメントレベルを上げるのか。調査を行ったテムキングループ社では、従業員と企業とのエンゲージメントレベルをアップさせるために重要とされる要素を以下にあげるような「Five I's 」、つまり「 I 」 から始まる五つの言葉で表現している。
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