創考喜楽

ことわざ科学館

一病息災

It means... 健康な人よりも少しくらい病気があった方がかえって長生きするということ

一病息災

病気と上手に付き合う方法

 

健康に自信のある人より、どこか病気のある人の方が、日頃体に気をつけるので、かえって長生きするということだ。例えば、糖尿病にかかると、もはや全快しないが、その代わり食事制限、投薬などで血糖を上手に正常値にコントロールし続けると、健康な人よりかえって無事に人生を終えることもある。

 

「病上手に死に下手」ということわざもある。頻繁に病気にかかるが、いずれも軽い病気ですみ、命取りになる大病にはかからないという意味である。結局、そんな人は長生きする。要は、病気と上手に付き合う方法を心得ている人が人生をうまく乗り切れるということわざである。「病気は気で勝つ」「諸病は気から」「百病は気から起こる」ともいう。

 

伝染病は別として、心配事や不愉快な事が続くと病気になりやすい。また、病気にかかっている人でも、自分は必ず治ると考え、気分を穏やかに明るく保つことによって、実際に病気の方も早く治る例もある。気持ちを過言してはいけないが、「医師と看護師の役割は、患者が勇気をもって回復しようとする働きを助けることだ」と、病院の案内に大きく書いてあるところもある。

 

 

にせぐすり「プラシーボ」の効能

 

たしかに人間は気持ちが大切である。その意味で、医師が本来の治療の手段として使う“にせぐすり”の効能も無視できない。この“にせぐすり”のことを「プラシーボ(Placebo)」という。例えばカゼをひいた患者に、医師がカゼぐすりだと称してただの小麦粉を与えると、それを飲んだ患者のカゼが早く治る事がある。

 

これは、人間の心理状態と、それが身体に与える微妙な影響を利用した医療行為である。これは精神的要因の高い治療法なので、プラシーボを与えようとする人に威厳、権威、知識、経験が備わっていることが必要である。また、医師と患者の間の信頼関係も、効果を大きく左右する。結局は、人間の知識は常に「氷山の一角」であることが必要で、“1”を述べるときも“10”のバックが要る。

 

例えばテレビの天気予報の解説でも、経験豊かで長年気象予報というサイエンスに携わってきた人は、同じことを言っても重みがある。「あすは台風が上陸する」と一言で言っても“行間”の知識がにじみでてくる。つまり説得力があるのである。このような“プラシーボ”は、今日の情報洪水の中で、私たちがどのように泳ぎ切り、うまく我が身を守って行くかのヒントにもなる。とにかく、よい意味のポーカーフェイスを決め込み、平然と時代を乗り切ることだ。