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第38回:グローバル人材の確保
  先日、『本音で語る!国際競争力のある人材』というテーマで、日本のいわゆる大手企業の海外のフロントラインで活躍されている方、人事担当者などとパネルディスカッションに出させてもらうことがありました。企業の担当者に学生相手に、「本音」で語ってもらおうというのが趣旨です。

 テーマは、最近はやりの『グローバル人材』です。「率直のところ、日本企業はグローバル人材をほしいのですか?」、「どのような人材がほしいのですか?」などの質問に対して、企業の側から“ほしい人材”像としては、 
▲写真はフォーラムのものです。
留学生から、「なぜ新卒採用にそれほどこだわるのか」「みんな同じリクルートスーツはおかしいと思わないの?」など率直な質問がなげかけられていました。
◇英語はできた方が良いが、英語だけでもダメ
◇ 多様性の中で、自分の個人の強みを活かせる人
◇国境を超えてビジネスを開拓できる人
◇ コスモポリタンな人材
◇大きなポテンシャルを感じる人材

などなどの意見がでてきました。そのうち、「本をたくさん読みなさい」とか「旅に出なさい」などの昔から聞かれるアドバイスも。だんだん、グローバルな感じがなくなってきてしまいました。

 そんなところ、「もしも、英語しかしゃべれないけど非常に優秀な人材と、日本語を話す普通の人材がいたら、どちらを採用しますか? しかも、前者のほうが人件費は安いとしたら」という質問が学生の中からでてきました。これは重要な質問です。企業の担当者からの答えは、「もちろん、前者を採用したい。だけど、実際に採用できているかといえば、そうなっていない。」というものがほとんどでした。

世界に目を向ければ、「日本語は喋れないけれど、優秀な人材」は山ほどいます。日本で人材を調達している限り、グローバル人材の確保が問題になってくるのです。実際に採用できていない理由は、企業側にあります。「グローバル人材」をほしいと言っている企業側が、そこまで多様性を受け入れる体制をつくれていないのです。

企業のコアとなる人材ですから、採用の際を仲介業者に任せっぱなしというわけにはいきません。役員が面接を行う必要もあるでしょう。社内の重要な会議も、英語でやらないといけません。彼/彼女たちとの日常のコミュニケーションも当然英語でしょう。また、問題になるのは語学だけではありません。ビジネスの仕方、コミュニケーションのとり方、全てにおいて、いわゆる「あうんの呼吸」的なものは、より多様性を受け入れる方向に変えていく必要があります。

そこまでの多様性を受け入れる準備ができていないからこそ、グローバル人材の確保問題がでてきてしまうのです。社内の画一性を保持したまま、新入社員に「グローバル人材求む!」というのはなかなか難しい。また、学生も得をしている側面もあります。企業がその体制を整えられていないからこそ、日本語という大きな参入障壁に守られているのです。

 もちろん、ユニクロや楽天のように、グローバル企業に成長するために、社内の多様性を増やす変革をしている日本企業もでてきています。企業にとって、人材はとても大切な経営資源です。世界を見回してみれば、優秀な人材は日本人ばかりではありません。グローバル企業のマネジメントが、全員、日本人、しかも、男性ばかりはやっぱりあり得ないでしょう。


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