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第28回:虫歯になったら、我慢するか、即ペンチ。大切なのは何ですか?
 バングラデシュに行ってきました。ダッカとエクラスプールという農村に学生と社会人の混成チームで10日間、行ってきました。グラミン銀行との共同プロジェクトで、農村が抱えるさまざまな問題を調査し、それに対して解決策を提案し、実行していくものです。

 バングラデシュは、一人当たりの年間の所得が6万円程度の最貧国の1つです。僕たちはグループに分かれて、エクラスプールというダッカから船で4〜5時間行った農村で調査を行いました。

グループごとにテーマは決まっています。僕のグループのテーマは、「健康」でした。健康と一言で言っても、幅広い。しかも、農村の健康に関する統計などの情報はほぼ何もないので、とにかく現地に行って、リサーチを開始しました。バングラデシュも初めてで、しかも農村ですから、驚かされることばかりでした。ざっと驚いたことをあげたとしても、いろいろあります。
▲エクラスプールの子どもたち。
イスラム教ですが、男女共学の学校に行っています。
笑顔はかわいいのですが、病院がないので、急病になったら大変です。
◇カレーは毎日食べても美味しい
◇だけど、具は毎日同じ
◇右手だけで食べるのは難しい
◇靴をはいていない子どもが結構いる
◇家はトタンづくりで、かなり寒い(夏はかなり暑い)
◇日本人が歩いていると、それだけで人が集まってくる
◇沼で炊事、洗濯、お風呂
◇もちろん、トイレもその沼へ
◇電気はかろうじて通じているところもあるけど、停電が多い
◇携帯電話がステータス
◇ゴミが多い

 いろいろと驚かされることはあるのですが、健康関連で、まず驚いたのは、エクラスプールには病院がないことでした。厳密に言うと、病院はあるのですが、医師は数ヶ月に一回しか来ないのです。農村と言っても、それほど小さいわけではありません。人口は、およそ2万人です。しかし、病院が実質上ないのです。
 もちろん、歯医者もいません。マーケットには、自称「歯医者」というおじさんがいるのですが、そのおじさんの前に無造作に置かれているのは、ペンチ! 歯が痛くなって、どうしようもなくなったら、抜くのです! もちろん、麻酔も消毒もナシ! 農村に住んでいる人たちの多くは、ダッカの病院まで行く余裕はありません。虫歯になったら、我慢するか、ペンチで抜くしかないのです! 

このような状況で、最も大切なのが、予防です。病院に行けないわけですから、予防するしかありません。歯磨きをちゃんとできれば、あの恐ろしいペンチのお世話にならなくてすむわけです。
農村の歯磨きの状況を調べてみたところ、だいたい歯磨きの習慣はありました。しかし、歯磨きは、朝起きて一回だけです。また、歯ブラシを持っていない人が多いのです。歯ブラシは高くて買えないのです。歯ブラシを買えない人は、指で磨いています。指ではなかなか上手く磨けませんから、当然虫歯は多くなります。

 そこで、僕らのチームの学生があるアイディアを考えついたのです。タイトルは、Brush UP Bangladesh。
続きは次回の日記で!
▲「自称」歯医者さん。虫歯になると、我慢するか、痛み止めをもらう、あるいはペンチで抜かれるしかありません。
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