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デザイン思考で世界を変える
第12回 |
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アイディエーションによって生み出されたアイデアを、ごく簡単に手近にあるものを使って具体的なモノに組み上げる「プロトタイピング」はデザイン思考に特徴的な手法の一つだ。今回はその使い方、解決策につながるアイデアを確認するための、プロトタイプを活用したテストについて述べる。
【メソッド:Prototype to Test / プロトタイプをテストする】
■Why prototype to test / どうしてプロトタイプをテストするのか?
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ここで言うプロトタイプはあり合わせの材料を使って簡単に作った未完成品だが、解決策やデザインをいろいろな面から検討するためには十分活用できるものだ。まずはプロトタイプをユーザーに実際に体験させてみることだ。またプロトタイプを作る過程においても、気付いたことなどについてメンバーが話しあったり、時にはそこからユーザーの心の深いところに潜んでいるニーズを発見するチャンスも得られる。
■How to prototype to test / どのようにプロトタイプをテストするのか?
テストというプロセスから何を学びたいのかをよく考え、その目的を達成できる、あるいは目的につながるひとつのシナリオとなるようなプロトタイプの作成を目指す。完成を目指すのではなくプロトタイプとして未完成な状態に留めることで、チームを早期に誤った方向性に導いてしまうことなく、生み出される数多くのアイデアを一歩先に進めることができる。目標とするのはユーザーが自由に反応できる体験を創りだすことだ。ゆえに解決策に近づくことのできる大切な部分にフォーカスし、その他の重要でない部分に労力を割くような無駄は避けること。
より意味のある反応を得るために、テスト自体のシナリオについて考えておくと良い。その解決策が実際に使われる状況においてテストされることも重要だ。たとえば消費者が食品を保管するためのシステムを作るような場合であれば、実際にユーザーの家のキッチンでテストするのが良いだろう。もちろんそれぞれ細かな差異はでてくるものの、大切な課題はこのやり方で見えてくるはずだ。
「プロトタイプをテストする際のポイント」
①とにかく始める:何をやるべきかという理解があまりできていない状況でも、紙やテープなど作業に使えそうな道具を探すことから始めると、意外にうまくスタートできる。
②個々のプロトタイプ製作に時間をかけ過ぎない:特定の一つだけに時間をかけ過ぎると、それに愛着を持ってしまい判断がかた寄りがちになるので、それを避けるためにも次々にプロトタイプを作っていく。
③常にユーザーを心に留めて考える:何をユーザーにテストして欲しいのか、どんな行動をとって欲しいのか、などの質問に対する答えを持つことによってプロトタイプ作りに集中でき、実際にテストする段階で役に立つフィードバックを得ることができる。
④違いを把握:それぞれのプロトタイプで何をテストしたいのかをしっかり把握する。プロトタイプごとに異なる目的がテストによって達成されるようにできると良い。
【メソッド:Test with Users / ユーザーによるテスト】
■Why test with users / どうしてユーザーによるテストをするのか?
デザイン思考では常に人間を中心におくことを原則としているので、このテストもその一つのプロセス。ユーザーにテストしてもらうことで解決策を精緻化し、解決策の対象とする人々への理解を深めることができる。プロトタイプのテストは解決策に対するフィードバックと、より一層深い共感を得るための絶好の機会と捉えるべき。そのためには、ユーザーに試してもらう前に今一度、学びと共感を得られる姿勢を取り戻しておく。
■How to test with users / どうやってユーザーとテストするのか?
テストに先立って以下の4点を確認する。
①プロトタイプ
②テスト前後の文脈とシナリオ
③テストの際のユーザーとの関係
④役立つフィードバックを得るためにどのように観察し、どのように写し撮るか
「Roles / メンバーの役割」
常に共感の姿勢を保ちながら、チーム内で担うべき役割を決めていく。
ホスト:ユーザーの抱えている現状とプロトタイプの状況の変化をサポートしながら、シナリオの理解に必要とされる説明をユーザーに行う。ただし、ユーザー自らの行動で発見できるように、やり過ぎないことが重要。その後プレーヤーに質問する。
プレーヤー:プロトタイプの経験作りのために、シナリオにそって役を演じる。
オブザーバー:チームに独立したオブザーバーがいることは重要。オブザーバーは収集してユーザーを観察。必要であればビデオを使用。
「Procedure / テストの手順」
常に計画的にテストを進行できるように心がける。
①経験してもらう:事前に何も説明せずにプロトタイプを渡す、あるいはそのための空間に導く。その後、ユーザーがどうしたら良いかを説明。その際、自分の考えやプロトタイプの意味などの説明は厳禁。
②体験を聞く:ホストからユーザーに向けて、どのように感じたか質問をして、印象や感想を話してもらう。
③積極的観察:ユーザーがプロトタイプをどのように使っているか観察する。ここでたとえ誤った使い方をしても、正しい使い方の説明をすぐには行わない。
④質問する:ここはテストにおける最も価値のある部分。なぜうまく使えたのか、あるいは使えなかったのか、使ってみてどう感じたのか、さらに具体的に(たとえば)このボタンについてどう思ったか、それはなぜなのか、といった質問をどんどん重ねて聞いていく。
【メソッド:Prototype to Decide / プロトタイプからの意思決定】
■Why prototype to decide / どうしてプロトタイプからの意思決定が大切なのか?
意思決定の際にチーム内の意見が対立してしまうと、その先に進むことが難しくなってくる。その場合にもプロトタイプがあれば、意見の対立点を明確にした上で、何を目指して前進するべきかを互いに妥協することなく決めることができるようになる。チームが分裂してしまうことを避けるために最も有効なのは、ユーザーを交えてプロトタイプの評価を行うこと。その意味でもプロトタイプは解決策につながるベストな方法だ。
■How to prototype to decide / どうやってプロトタイプから意思決定するか?
プロトタイプを未完成な状態に留めることによって、あくまでもひとつの候補案としての可能性を保てるようにする。テストの対象となるデザインの課題をそれぞれ切り分けて独立させることにより、一つ一つに集中してテストできるようになる。チームメンバー、部外者、そしてもっとも良いのはユーザーにプロトタイプをテストしてもらい、フィードバックを得ることだ。
Hasso Plattner Institute of Design at Stanford University
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