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デザイン思考で世界を変える
第7回 |
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デザイン思考のメソッドを用いて新事業などのアイデアを開発する際に行われる、もっとも基本的な作業がブレーンストーミングだ。他人の発言を否定しない、などの基本的なルールはよく知られているが、時には発言があまり出なかったり、何回もぐるぐると同じ議論が繰り返されたり、まったく収拾がつかなくなってしまうようなことも少なくない。今回はそんな時にブレーンストーミングを活性化し、意味あるものにするために役立つメソッドをご紹介する。 |
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【メソッド:Powers of Ten / 10のべき乗】
■Powers of Ten / 10のべき乗
「10のべき乗」とはあまり聞きなれない言葉だが、べつに数学的なことを語ろうとしているわけではなく、物を見る「レンズ」にはいろいろな倍率がある、ということ意味している。有名な家具デザイナーのイームズが脚本と監督を担当した「Powers of ten」という教育映画(1968年)があって、米国で広く知られている。
スタンフォード大学版のテキストにおいても「Powers of Ten」という言葉が使われているが、この映像をイメージして使われているものと推察される。ゆえに映画について知らないとこの章の理解ができないので、以下、ウィキペディアでの同映画の映像解説を引用させていただく。
~~最初、どこかの公園に寝転がっているピクニック中の男性の姿を真上からとらえている映像から始まる。正方形に区切られた映像は縦・横が1m × 1mの範囲を見せている。10秒かけてカメラが上空へ上がっていき、その範囲は10m × 10mとなる。次にはやはり10秒かけカメラはさらに上空から100m × 100mの範囲をとらえる。このようにしてその範囲を拡大していき、ついには宇宙の果てともいうべきところまで後退する。今度は1分で元の1m × 1mの世界へ戻り、逆方向……つまりカメラが人物に寄っていく。10秒かけて0.1m(10cm)× 0.1mの世界へ(映像では手の甲がアップになる)。さらにどんどんミクロの世界へ突入していき、最終的には陽子や中性子の世界にまで入っていく。(この時代にはまだ素粒子という考え方は一般には知られていない)~~
(http://ja.wikipedia.org/wiki/Powers_of_Ten)
◼︎なぜPowers of Tenを使うのか
「Powers of ten」はアイデア合成やアイディエーションのためのメソッドとして、物事を色々なレベルから見るためのフレーミングテクニックだ。このやり方を使えば、デザインチームはフレームワークの倍率を意図的に変えながら、問題に対処できるようになる。
◼︎Powers of Tenの使い方
「インサイト開発のために」
たとえば購入した商品代金の支払い経験を新たにデザインしなおすという場合、あなたはユーザーの動機や彼女の人生におけるある瞬間を理解しようとしている、ということを意識すべきだ。彼女の購買動機がどこからどのようにして生まれてきたのか、それをいまあなたは考えている。そして観察の結果、彼女は商品購入の前にウェブでいくつものカスタマーレビューを読んでいることがわかってくる。
そこから「彼女は仲間の意見に価値を感じている」というインサイトに次第に近づいていく。そんな時、ガム、靴、ソファ、自動車、そして住居といった、価格のまったく異なる様々なアイテムの購入に際しても彼女がどのような態度をとるのかということについても考えて見る。その上で、さらにその考察を文字に落とし込む。細かなニュアンスの違いにも注目する。それを2x 2のマトリックス(後で説明)などのフレームワークに取り込む。
「アイディエイションのために」
グループでアイディエーション(アイデア出し)を行う際、時には行き詰まってしまうこともある。そんな時「Powers of ten」はグループに新しいエネルギーを送り込む良い方法になる。ブレーンストーミングのトピックとして、解決策の倍率を変えたレンズを使用するのだ。
たとえば「インプリメンテーション経費が100万ドル以上かかるとしたら」、逆にそれが「もしも25セント以下だったら」「もしこの部屋よりも大きなサイズだったとしたら」「トランプよりも小さかったら」「目に見えないものだったら」「終わるまでに4時間以上かかるとしたら」「30秒もかからないとしたら」といった具合だ。こうした現実からちょっと離れた刺激はチームを再び活性化するきっかけとなることが多い。
【メソッド:2 x 2 matrix / 2 x 2マトリックス】
◼︎なぜ2 x 2マトリックスを使うのか
2 x 2マトリックスはユーザーや問題の領域について考えたり、話し合う際に、基盤となるようなツール。モノと人との関係について深く考え、分析しようとする時などに使用すると良い。2 x 2マトリックスを使うことによって、インサイトや、より深く追求しようとする領域が明らかになってくることが期待できる。またあなたが伝えようとする関係性をビジュアルに表現するのにも適している。
◼︎どのように2 x 2マトリックスを使うのか
交差する軸の両側に二つの領域を設定して2 x 2のマトリックスを描き、そこにいろいろなアイテムをプロットしていく。その場合のアイテムとはたとえばプロダクト、物体、モチベーション、人、引用、素材など、探求する価値のあるものであればなんでも良い。軸の両端に、それぞれ相反するものを配置する。
たとえば縦軸に職に対する情熱(高い/低い)を配置し、横軸にはテクノロジーに対する適応度(初期適応者/後期適応者)を配置する。マトリックス上にアイテムを当てはめていくと、どの領域でグループが形成されていくかを見ることができ、さらにそれらの関係性を探していく。どの象限に空きがあるのか、逆に混雑しているか、どの象限で想定されたアイテム同士の関係が壊れていくか。実はこのマトリックス上に様々なアイテムを配置するために行われる議論は、往々にして、マップそのものを完成させることよりも価値を持つ。
有意義なたくさんの情報を与えてくれるマトリックスを作るためには、幾つかの異なった領域の組み合わせを試してみる必要がある。どんな組み合わせがいいか判断しかねるような場合でも、いくつかのコンビネーションを試して見る価値はある。なぜなら一つやってみると次が見えて来るということも度々あるからだ。
一般的にこのような2 x 2マトリックスはブランドなどの競合関係を明確にする際に用いられることが多い。そうした場合には、空白のある象限がビジネスチャンス(あるいは逆にまるでダメなアイデア)を示している。
2 x 2マトリックスの例
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Hasso Plattner Institute of Design at Stanford University
d.School
The D.SCHOOL BOOTCAMP BOOTLEG |
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