研修企画のあれこれを
知る

研修制度の作り方・進め方

Vol.3集合研修って、どのように進めていったらいいの?

研修企画の基本的な進め方

集合研修には3つの種類があると先に述べましたが、ここではもっとも実施されることが多い外部委託研修を企画・運営していく場合の進め方を解説します。以下の内容が、企画から実施までのおおまかな流れです。

1実施する研修テーマを検討する
まずは、実施する研修テーマを検討します。毎年実施している階層別教育、経営課題として降りてきているテーマ、現在職場で問題となっている事柄、従業員(受講者)からの要望など、検討すべきテーマはたくさんあります。「HRの基本知識」の章でも解説しましたが、これらを整理して選定していくため「人材像」や「教育体系図」を準備しておく必要があります。それに当てはめる形でテーマを並べていき、経営的な優先順位に沿って実施テーマを決めます。
2研修会社に依頼する準備を整える
実施するテーマが決まったら、研修会社への依頼の前に、まずは準備を十分に整えておきましょう。実施日程や実施場所、受講対象者数などの基本条件のほか、研修を実施するにあたっての「目的」「背景(現場の課題)」「期待する効果」「盛り込みたいテーマ・手法」などを明確にしておきます。これらを明確にすることで、声をかけるべき研修会社も絞られますし、要望に沿った企画を出してもらうことができます。
3研修会社と打ち合わせをする
研修会社への依頼は、営業担当者を呼んで直接伝えるか、要望をまとめた依頼書を送付するのが一般的です。現場の課題や要望など、細かいニュアンスを伝えるには前者のほうがよいでしょう。依頼する研修会社を絞れない場合は2-3社に声をかけ、それぞれの企画を比べます。依頼する研修会社が決まったら、あらためて打ち合わせを行い、実施へ向けて最終調整をしていきます。その際に、指導講師と打ち合わせの機会を持ち、受講対象者の様子や指導のしかたへの要望を伝えるようにします。
4上司・受講生へ通知する
研修の実施概要が確定したら、受講対象者とその上司へ連絡します。どのような目的で研修を実施し、受講者にはそこでどのような成果を出してほしいのか、上司にはそれをどのようにフォローしてほしいのか、など。どんなに素晴らしいプログラムであっても、受講者の意欲や姿勢が整っていなければ効果はあがりませんので、必ずこれらを伝えてください。事前課題を実施する場合は、あわせてその旨を通知します。
5研修実施
研修当日は、指導内容や受講者の反応など、気になるところを研修会社のスタッフに伝え、できる範囲で対応してもらいます。研修後のアンケートは、形式的なものとならないよう注意します。どのように活用するのかを明確にしたうえで、アンケートの実施有無を決めたり、具体的な質問項目を作成しましょう。
6研修後のフォローアップを行う
研修後課題(アクションプランの作成や職場での実践記録など)を行う場合は、研修前か研修後すぐに受講者に通知します。また、研修後数週間のうちに教育会社から報告書を受け取り、研修の振り返りを行います。それは、実施した研修の内容や反応を振り返るだけではなく、今後の教育方針を検討する機会としてください。

よい研修会社の選び方

研修を外部に委託する場合の多くは、研修会社に依頼することになります。研修会社といっても、人財教育専門の会社からコンサルティングを中心とする会社、または、自身一人で講師業を行っている個人事業主など、さまざまです。費用に関して、1日20万円程度で請負う会社もあれば、100万円程度が基準となる会社もありますが、高ければよいと一概にいえるものではありません。自社の課題・要望に合った研修を提供できる会社を選ぶことが、何より大切です。

そのためには、研修会社ごとの得手不得手を確かめます。これは研修会社の営業担当に尋ねたり、これまでの実績・事例をもとに判断するとよいでしょう。気をつけるべきは、得手不得手を確かめる事柄を研修テーマだけに限定しないことです。テーマの他に、実施方法や実施業界でも、研修会社によってカラーは異なります。

たとえば、1~2日の講義主体の研修を得意とする会社もあれば、研修前後の課題やフォローアップまでを仕組み化して提供することが得意な会社もあります。ほかに、ワークショップ形式や異業種交流形式など、講義とは異なる形で学習機会を提供する会社も出てきています。業界でも、製造系、販売系、自治体向け、あるいはより絞り込んだ業界など、得意分野は研修会社によって異なってきます。

そうした情報と自社の要望を掛け合わせて、もっとも適した研修会社に頼むことが、「よい研修」を行うための基本となります。

2019年2月28日 公開