研修制度の作り方・進め方
Vol.4集合研修を、もっと実践的なものにするためには?
フォローアップは運営側のためにも行う
研修後の大きな課題は、学習したことを職場に戻ってから活用してもらうことです。いくら研修が盛り上がっても、その研修によってどんな効果が得られたのかが目に見えてわからなければ、よい研修になったとはいえません。研修は実施して終わりではなく、現場で活かされて次につながることで、はじめて意味があるということです。そのために、研修後のフォローアップは非常に重要となります。
研修後に設定する課題や研修の振り返りは、受講者の学習効果の確認のほか、講師や教育担当者の進め方が適切だったか否かの確認のためにも大切です。自分の行ったことを評価し、よかった点にはさらに磨きをかけ、欠点を修正して次に活かすことは、研修企画・運営という業務能力や技術を高めるために不可欠です。また、受講者の感想・反応や更なる課題に目を向け、以降の計画を作るためにも役立ちます。
実際にフォローアップを行うのは、研修の事後の活動としてですが、研修が終わってから考えるのでは遅すぎます。フォローアップの実施についてはもちろん、内容や方法に関しても、研修の準備段階で考えておきます。そうすることで、フォローアップまでがひとくくりのプログラムとして実施できるようになります。
また、フォローアップでは、研修の学習内容が実際に職場での業務に生きているかどうかを、しっかり確かめることも重要です。受講者からのレポート提出、上司との面接、社内報への報告・掲載など、継続的な活動を長期に渡り根気よく続けていくことで、全社的な教育の風土も形作られていきます。
目的に応じたフォローアップの種類
研修後のフォローアップには、以下のような方法が考えられます。研修内容に応じて組み合わせて実施することで、より効果が高まります。
- ① 確認テスト
- 研修内容を正しく理解できたかどうかを定量的に確かめる方法。知識や技能が身についたかどうかを試すのに向いている。筆記試験のほか、口頭試問、実地試験などがある。
- ② アンケート
- 受講者本人や上司らに意見や感想を求めるもの。定量化しやすい選択式、定性的に視る記述式を併用したい。実施側も受ける側も大きな負担がない。
- ③ レポート
- 受講者本人による意見や感想を求める方法で、原則自由に書いてもらう。よく考え、より冷静かつ論理的にまとめられるという利点がある。
- ④ 職場での実践
- 学習内容を職場で実践し、その経過や成果を記録してもらう。実務のなかで実践するための意識付けや習慣付けが行える。研修で作成するアクションプランと連携して行われることが多い。
- ⑤ 仕事に対する効果測定
- 受講者個人の営業成績が上がったか、顧客からのクレームが減ったか、職場の生産性が向上したかなど、比較的簡単にわかる数字などで効果測定を行う。短期間に成果の出る内容の研修では、この方法が有効。
効果測定の評価ポイント
実施した研修の効果を測定する場合は、アンケートやレポート、面接などの方法を用います。それに基づいて、一定の尺度で研修を評定し、評価を下します。この評価をもとに、次の研修をどう行うか、どのような講師やスタッフが必要とされるかなどを判断していきます。
以下は、効果測定が行われる対象と、それぞれに対する評価の着眼点です。
- ① 受講者個人に対して
- 知識や技術はアップしたか、問題解決の技法が身についたか、仕事への姿勢や行動が変容したか、仕事の数字に変化はあったか、など。
- ② 職場に対して
- 組織レベルの変化が出たか、雰囲気はよくなったか、活気が出てきたか、など。
研修の効果測定や評価には、労力的にも時間的にも、受講者やその職場にいる人たちの協力が必要です。しかし、実際には日常の多忙な業務のなかで行われるため、受講者のなかには反発したり不信感を抱く人もいます。そうなると、受講者のスキルアップや職場での実践意欲を下げてしまい、研修の本来の意味を失いかねません。
そのため、受講者には、研修のオリエンテーションの段階で、フォローアップの目的や手法、手順についてもきちんと説明しておく必要があります。そして職場の上司などには、研修の受講を依頼するときも、前もって事後の面接などへの協力を頼んでおきましょう。こうして、受講者やその周囲のメンバーに納得してもらってはじめて、有効な効果測定ができるようになります。
2019年2月28日 公開