第7回:Excitement is
Contagious
最近、ワクワクしたことがいくつかありました。ワクワクしていたことに気がつきました。今月の日記は予定を変更して、新鮮なうちに、そのワクワクをお届けしたいと思います。
Qiao Yiというナノ・テクノロジーを研究している友達がいます(彼の名前の発音はかなり難しいです)。中国からの留学生です。彼は会うたびに、研究していることを説明してくれます。時間がないときは困るのですが、これが結構楽しいのです。ナノ・テクノロジーって何なのか、どういうところで使えるのか、そして、自分の研究している分野はどこなのかなどを、かなり噛み砕いて説明してくれるのです。相変わらず、細かいことまでは良く分かりません。ただ、そこにエッジがあるというのが良く分かります。分野はまったく違うのですが、エッジにいる人の話はいつもワクワクします。
友達の石川悠子さんの専攻は音楽、ピアノです。先日、彼女のピアノとフルートのリサイタルに行って来ました。僕は、ショパンもシューベルトも、モーツアルトもモッツァレラも区別がつかないほど、クラシックには疎いのですが、そんな僕でも間近で生の演奏を聴くとドキドキしました。ピアノを弾く指使いは見ているだけでそのすごさを伝えてくれます。彼女は、自己表現が一番上手くできるから、ピアノが好きだと言います。自分の好きなことで他の人をドキドキさせられるということに、ワクワクします。
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Yuko Ishikawa
ピアニストの石川悠子さんです。 最近Excitementに感染していないヒトは、 コンサートに行くことをお勧めします。それも演奏しているすぐそばで、聴いて、見てください。 ワクワクします! |
ロビンという友人は、暗号を勉強しています。彼女に会うまでは、暗号を大学で勉強できるのかさえ知りませんでした。ただ、インターネットの普及などによって、暗号の重要性はどんどん高まってきています。今は企業と一緒に研究を進めているそうです。自分の研究がすぐにでも社会で役に立つことを聞くと、ワクワクします。
社会学のセミナーに出ています。毎週誰か発表し、議論するというものです。先週の発表者は、議論が終わった時に、少し興奮しながら、「ありがとう。とっても勉強になりました。早く研究室に帰って、研究に反映させたい。」と言っていました。スティンチコムという先生が先週の発表者でした。学生ではなくて先生です。しかも、有名な人で、もう名誉教授になっている先生です。そんな先生が今でも現役でどんどん新しい研究をし、学生と同じ立場で議論しています。まだまだ現役です。そんな姿を見ているとワクワクします。
僕の大好きな経営史学者のアルフレッド・チャンドラー先生もそうでした。かなりの年なのですが、いまだに新しい研究をし、しかもそれを興奮しながら僕らに話してくれるのです。
やっていることはバラバラですが、みんな、自分たちはまさにエッジにいるという感覚を持っています。自分のスペシャリティを持っていて、さらにその中で何をしているか良く分かっています。普段は一緒に冗談を言いながらアイスを食べたりしている人が実は、スゴイのです。そして、自分のやっていることを楽しんでいます。自分のやっていることに興奮しています。すごい人やエキサイトしている人にふれると、きっとその興奮は伝染します。人を動機づけます。がんばりたくなります。すごさは楽しめます。もちろん、これはアメリカに限ったことではありません。日本にもすごい人、エキサイトしている人はたくさんいます。
ただ、アメリカの大学ではいろいろな種類のすごさに出会える気がします。これはノースウェスタン大学が総合大学であることも関係しているかもしれません。アメリカの規模の大きい大学では、ありとあらゆる分野が用意されています。いろいろなバックグラウンドを持った、様々な専攻の学生がいます。ナノ・テクノロジーを研究している人、ピアニスト、暗号について勉強している人など多様性に富んでいます。年齢も国籍も人種も違います。
このような多様な人たちが、みんな大学の寮やキャンパスのそばのアパートに住んでいます。これがミソです。食事をするところはほとんど同じところです。同じジムに行きます。同じカフェに行きます。わざわざ時間をかけなくても、すぐに会えるのが良いのです。多様なスゴサと興奮が、共鳴している気がします。日本の大学がキャンパスをいろいろな所に分けているのは、もしかしたら失敗かもしれません。
僕が勉強している分野のひとつにイノベーションがあります。多様性はイノベーションを促進すると言われています。その理由のひとつは、多様性はワクワクを生み出すからかもしれません。アメリカのコマーシャルで、Knowledge is Contagious!(知識は伝染する)というのがあります。多様性はワクワクします。Excitement is
Contagious!です。
大学のジム(スパック)の受付のアルバイトの学生です。僕とガブリエルのジムに行く大きなインセンティブの1つです! |
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