第18回:LSEについて
 サマータイムがはじまり、ロンドンも少しは明るくなってきました。たまに、この日記を読んでくださっている方からメールをいただきます。LSEにつての質問のメールもいくつかいただきました。今月は、僕が通っているLSEについて書きたいと思います。

ロンドンにはいくつかのLSEがあります。ロンドン証券取引所(London Stock Exchange)やロンドン英語学校(London School of English)などもLSEです。僕が通っているLSEの正式名称は、the London School of Economics and Political Scienceです。長すぎて誰も覚えられないのでand以下を省略して、LSEとなっています。

LSEは、ロンドンにある国立大学です。イギリスには私立大学は1校しかなく、他は全て国立大学です。国立なのに授業料は高いです。また、LSEはロンドン大学の1つです。ロンドン大学とは、20ぐらいの大学が集まったものです。ロンドン大学にはロンドンにないものもあります。

最近ではLSEも夏の間、北京に支店をだしています。そのうち日本の駅前にもロンドン大学ができるかもしれません。ロンドン大学には脱退したり新規加入したりすることもあるようです。その点ではモーニング娘。に似ています。LSEもロンドン大学から脱退しようとしているという噂も聞きます。

LSEは経済学を中心として社会科学しかありません。一橋大学と似ています。学食が美味しくないのも良く似ています。何を食べても同じ味がします。最近、新しい食堂がオープンして少しよくなりました。学問領域はかなり細かく区切られていて、25ぐらいの学部や研究所があります。合計7000人ぐらいが勉強しており、半分ぐらいが大学院生です。留学生の比率が高く、およそ半分が留学生です。その点では酒田短大と似ています。僕の6人の同期のうちイギリス人は1人だけです。デパートメント全体でもやはり半分ぐらいでしょうか。150人ぐらいの日本人が勉強しています。緑に囲まれた広大なキャンパスといういわゆる大学らしいものはなく、ノースウェスタン大学と比べるとだいぶものたりません。ただのさほど新しくないビルの集合です。まわりのビルを買い足していっているので、4階から隣のビルに行くとそこは5階だったりします。渋谷の百貨店のようです。

ノーベル賞受賞者が多いというのがウリの1つです。ただ、ノーベル賞受賞者はだいたいダブルカウントされている場合が多いので、当てになりません。卒業生には元首が多く、世界で最も多くの元首を輩出しているとも言われています。単純に留学生が多いからでしょう。卒業生には多様な人がいます。J・F・ケネディーもLSEの留学生でした。成績優秀だったミック・ジャガーはキース・リチャーズの誘いにのり、中退し、ローリングストーンズを結成しました。

現役生としてはビル・クリントンのガールフレンドのモニカ・ルインスキーが有名ですが、まだ会っていません。他のイギリスの大学と比べると革新的だとされています。学生運動も盛んだったようです。
その革新性のおかげか革命家やテロリストまでも輩出しているようです。
緑豊かな広大なキャンパスもなく、テニスラケットをもった華やかな女の子たちもいないLSEですが、僕は好きな大学です。だいたいどこのデパートメントも毎週セミナーがあります。そこには、いろいろな大学のエース級の研究者が発表をしにきます。

古い大学にありがちな権威主義的な雰囲気はありません。比較的新しく、本当に権威がないからかもしれません。でも、それが良いのです。また、留学生かが多く、多様なバックグラウンドをもつ学生が、比較的細かく区切られた領域で一緒に勉強しています。この多様性の高さは僕は好きです。
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