第16回:イギリスのマスコミ。やりすぎじゃない?
 先日、イギリスのサッカーの代表監督のエリクソンがワールドカップ後に辞任することを発表しました。イギリスのマスコミ『ニュース・オブ・ザ・ワールド』が、アラブの富豪と偽って、エリクソン監督をドバイの高級リゾートに招き、散々接待をした挙句に、ウソのサッカークラブの買収話を持ちかけたのです。

それにまんまとのってしまったエリクソンは、「多額の報酬があれば、ワールドカップ後にそのクラブの監督になってもいい。

(イングランドとの契約はワールドカップの後も残っているのに)」、「ベッカムはそのクラブに呼べる。」、「ルーニーは育ちが悪いからダメ」などと言いたい放題言ってしまったのです。

 これが大きく報道され、エリクソンはワールドカップ後の辞任を発表したのです。マスコミにはめられたわけです。エリクソンは、イングランド史上初めての外国人監督でした。そのため、風当たりも強かったのですが、予選を見事に1位で突破し、ワールドカップも40年ぶりの優勝という期待もされていました。イギリスのサッカーにとっては大きく水をさされた形です。

 イギリスのマスメディア、特に大衆紙の悪さは言うまでもありません。アメリカのタブロイドよりもずっと悪いです。エリザベスを追いまわしたのもイギリスの大衆紙です。エリザベスの事故の時には大衆紙に対して批判がありましたが、今回のエリクソンの件は全くといってよいほど大衆紙に批判的な記事は見ていません。

エリクソンはまんまとワナにハマってしまったわけですが、イギリスの大衆紙の品のなさには驚かされます。有名人をワナにはめるような記事がたくさんです。また、その大衆紙が売れているのです。地下鉄では女の子たちがセレブの隠し撮りの大衆紙を熱心に読んでいます。決まって3ページ目にヌードがでてくる大衆紙を地下鉄で熱心に読むおじさんもいます。

もちろん、優秀なジャーナリズムは日本のものよりもよっぽど優秀です。インディペンデント、ファイナンシャルタイムズやガーディアンなどは、横並びで腰砕けの日本の新聞よりもずっと優秀です。それらのいわゆる“高級紙”も最近ではタブロイド化しているとは言われていますが、本当の大衆紙はひどいのです。

日本やアメリカのものよりもずっとひどいのです。もしも、新聞がその国を反映しているものだとすれば、わずかな品の良いたちと多くの品のない人たちがいるのがイギリスだということになります。本当にそんな国だと思います。
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