多くの大学では社会学部や政治学部に入っている部門です。また、Human Resource
Management(人的資源管理)もManagement(経営学)部門とは別です。Economic
History(経済史)という部門も独立しています。通常は経済学部の一部だったりするものです。
また、多くの研究所もありますが、これもかなり細かく分かれているのです。例えば、Crisis State Research CenterやCenter for Analysis of Social Exclusion、The Economic and Social Cohesion Laboratoryなどというのもあります。かなり分類は細分化されています。
部門を細分化すると、かなりのマーケティングの効果があります。専門性をはっきりさせておくと、興味の対象がはっきりしている人には検索しやすいわけです。例えば、単に「経済学部」あるいは「社会学」としていると、ちょっとくくりが広すぎて、何に焦点が当てられているのか分かりにくくなることがあるのです。
検索しやすいとなぜ良いのかと言えば、やはり学生を集めやすいわけです。イギリスの大学の多くは財政難です。そして、その財政難を解決する一つの方法が留学生だと言われています。留学生の授業料は高めに設定されているからです。ただし、留学生市場を考えた場合には、アメリカの大学が大きな競争相手になっています。アメリカの大学が良くも悪くも教育産業においてデファクト・スタンダードをとったと言われています。少なくとも商業的な成功は収めています。イギリスの大学はそれにどうやって対抗していくのかということが問題の一つとなっています。LSEのプログラムの細分化もその一つの手段です。細分化してそこに特化していくわけです。
教育は、言葉の問題、地域性の問題があり、自分の国の大学がダメだからといって、すぐに他の国へ学生の多くが移るということはありません。この障壁が大きければ大きいほど、大学間の競争は小さくなります。その結果、それほど魅力的な大学にしなくとも、学生はある程度集まるということがおきます。
ただ、イギリスのように、英語での教育の場合には、競争はどうしても激しくなります。国内だけでなく、海外の多くの大学と競争になるわけです。言葉の障壁が小さければ小さいほど、大学は厳しい競争にさらされます。常に競争優位を確立していく努力をしていかなければ、競争に負けてしまいます。設備を充実させる大学もあるでしょう。ラクに単位を出す学校もあるかもしれません。ある分野に専門性を絞る大学もあるでしょう。あの手、この手で考えるわけです。プログラムを細分化し、そこに特化するのも一つの方法です。
もちろん、競争すれば良いというわけではないかもしれません。簡単に学位をあげる大学も出てきてしまうかもしれません。そもそも「教育」を市場で取引するのは、その目的からしておかしいという意見もあるかもしれません。ただ、大学が競争をしていてくれると、学生の側にとってはいろいろなチョイスがあって楽しいのです。プログラムが細分化されているおかげで、自分の興味にあったプログラムを見つけられる学生も多いでしょう。
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