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第15回:草食系の行く末 トレンドなのか 成熟なのか
あけましておめでとうございます。

2009年もいろいろなことがありました。日本は民主党に任せてみるという大きな変化を選択しました。相変わらず経済は停滞を続けていますが、少しずつ回復の兆しも見えだしています。
 景気の回復には大きな期待をかけています。期待というか楽しみなのです。もちろん、大きな理由は経済的なものですが、他にも理由はあるのです。日本の成熟を確かめたいのです。

▲静かな日本のお正月。
晴れの日が多かった良いお正月でした。
 ここ数年、「草食系男子」というラベルがでてきました。恋愛に積極的ではない、不相応に高いプレゼントを彼女にすることはなく、旅行は海外よりも国内、車もレンタカーで済ませる。このラベルには、男女の関係、友人関係などいろいろな側面が含まれていますが、見栄の消費をしないというのも重要なポイントです。
 20年前は大違いでした。バブル期でいわゆる“高度消費社会”がピークに達したのです。本当にほしいのか、ほしいと思わされているかが区別できず、マスメディアの情報をそのまま受けとる。同じようなものを同じように消費するわけですから、多様性は極端に少ないわけです。今から思えば、クレイジーな世界だったわけですが、当時はそうは思わなかった。
まさに村上春樹が『ダンス・ダンス・ダンス』で、「住むんなら港区、車はBMW、時計はロレックスってね。ある種の人間はそういうものを手に入れることで差異化が達成されると思ってるんだ。みんなとは違うと思うのさ。そうすることによって結局みんなと同じになっていることに気がつかないんだ。」と痛烈に描いた世界です。

この“高度消費社会”は、いわゆる「草食」的消費とはかなり違います。草食系は、見栄の消費はしないわけです。「今の若い人たちは、巣ごもりして、モノを買わないからなかなか消費が喚起されない」とか「情けない!」なんて言われたりしますが、彼らは自分がほしいものを見極めた上で消費をしている。見方によっては、「成熟」してきているようにも見えます。
 ただ、この消費のパターンも実は長期の不況が原因という見方もあります。子どもの頃からずっと不況の中にいたために、彼らには無駄な消費をする経済力がなかったというわけです。これが本当だとすると、経済が成長を始めたとき、彼らは今の消費行動をガラッと変えて、見栄の消費に向かうことになるわけです。

▲クリスマスはいつもチキンを焼きます。
毎年、少しずつ美味しくなってきています!
 景気が良くなったとしても、彼らが今の消費のパターンを変えず、自分でモノを見極めようとするのであれば、もしかしたらそれは日本で“高度消費社会”がようやく終わりを迎え、新しいフェーズに入るのかもしれません。

 「草食」は、不況の影響によるトレンドなのか、それとも「成熟」なのか。経済が再び成長を始めたときに、「失われた20年」の中で起こっていた社会的な変化のドライビング・フォースが分かるのです。

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