13億人はヒトそれぞれなれど、興味が尽きない中国人。もっとよく理解するための連載講座
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第3回 すごいぞ中国人! ゲテモノ編
 今回は「食」の話題を。「4つ足のものは机以外何でも食べる」などと称される中国人ですが、実際、「こんなものまで!」と驚かされるような食材が少なくありません。この手のゲテモノには弱い日本人は、カルチャーショックを受ける人が多いようですが、もともと僕は食に対する好奇心が非常に旺盛なこともあり、各地でありとあらゆる動物の、ありとあらゆる部位を口にしてきました。

思いつくままに挙げてみると、動物は、イヌ、ネコ、ロバ、ネズミ、ウサギ、ラクダ、ワニ、クサガメ、ヘビ、カエル、トカゲ、サソリ、昆虫類など。このなかで、僕が最も頻繁に食べてきたのは、イヌ、ロバ、カエル。イヌやロバは、専門店もあるほどメジャーな食材なのです。
一方、部位のほうは、ニワトリのトサカ、頭、イヌの内臓、脳、ペニス、ブタの鼻、尻尾、羊の内臓、尻尾、ワニの内臓、ロバの唇、内臓、ラクダの内臓など。ブタやアヒルは、血を固めたものも食べました。トカゲ、カエル、クサガメは、生前の姿がしっかり分かる形で出てきましたし、ネコやカエルは、目の前で包丁が入れられ、料理になるまでの過程をしかと見届けましたが、気持ち悪いとか、まずいと感じた記憶はありません。むしろ、殺生した動物を無駄なく食べ尽くす食文化に、感銘すら覚えました。生命をいただく場面を子どもの頃から見て育つのは、教育上すばらしいことではないでしょうか。
ちなみに、そんな中国人ですら、絶対に口にしないのが生卵。彼らにとっては、「生卵こそゲテモノ」という感覚なのでしょう。中国でも吉野家は大人気ですが、しかし、牛丼には欠かせない生卵のトッピングは存在しません。

ゲテモノ類は、個人的に好きだから食べ続けているだけ。「ゲテモノのススメ」が今回のテーマではなく、みなさんに伝えたいのは、中国の食文化の奥深さと、「郷に入れば郷に従え」で、まずは彼らと同じものを食べ、同じものを飲んでほしい、ということなのです。日本へ来た中国人観光客が、日本の食べ物をおいしそうに食べていると、自分のことのように嬉しくなりますよね。北海道の居酒屋で納豆や筋子や塩辛なんかを平気で食べている中国人を見たときは、「やるじゃないか」とついシンパシーを感じてしまいました。
この感情は中国人とて同じ。特にビジネス関連で中国人と会食する機会がある方は、演技でもいいので、ぜひ「うまい」と激賞してあげてください。会話もはずみ、相手に好印象を持たれ、きっと良好な関係が築けると思います。

以前、通っていた中国語学校で、北京への短期留学活動がありました。もちろん、僕は少々汚い店であろうと気にせず、何でも飲み食いしていたのですが、どうにも不愉快だったのが、10代の若い子たちの過剰な神経質さでした。それなりのランクの店にもかかわらず、未使用のグラスや食器をウェットティッシュで拭く、油っこい料理や見慣れない食材には、試すこともせず手をつけない、体調を崩すと水や中国料理のせいと決めつけ、その後はお菓子やファストフードばかり食べている――こういう視野狭窄な若者を見ていると、せっかく中国まで来ているのに勿体ないと思ったものです。異文化へのアプローチに消極的な子たちは、総じて語学力が伸び悩んでいたことも付け加えておきます。彼らの腹痛や下痢の症状は、食あたりではなく、慣れない異国生活によるストレスや疲労が主な原因のはずなのですが。
ブタの鼻とニワトリの頭です。鼻は1パック3個入り、頭は串刺しの状態でした(笑) ワニは広州あたりじゃ珍しくありませんが、鼻と頭は、広い中国とはいえ、なかなかお目にかかれない珍品です。
中国は「吃饭了吗?」(食事は済みましたか)が、日常のあいさつ言葉に使われるほど食を大切にする国。商談の時間と同じくらい、食事の時間も重要視すべきです。日本の立ち食いそばや立ち飲みといった業態は、おそらくこの先も浸透しないでしょう。

 イヌのペニスやワニの内臓まで食べてしまう僕のような無神経な人間は、健康に無害なレベルの放射性ヨウ素など、微塵も気になりません。スーパーで飲料水の確保に躍起となっている人たちを尻目に、おいしく水道水をいただいています。
安全な水道水にまで警戒心を捨てきれない“水難民”の姿に、ふと北京で中国料理から逃げていた子たちを思い出すきょうこの頃です。
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