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はじまりはいつも小さな成功体験
〜できるという確信に、復活のエネルギー充電作用がある vol.2 |
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前回、小さな成功体験の大切さをお話ししましたが…
一方で、成功体験というのは影響力が大きいため、諸刃の剣にもなりがちです。「俺について来い」と会社を引っ張る度胸満点のワンマンオーナー社長なんかは、立ち上げ当初のうまくいっていた時期の成功体験が自信過剰を生み、それが災いして振り向いたら誰もいなくなっていた…なんてことは珍しくはないのですね。
また、教育でも全く叱られたことのない「いい子」は、叱られることや失敗して挫折体験を味わうことで、自分のやり方を軌道修正された経験がないので、時には自尊心ばかり肥大して増長しがちです。お勉強しかできなかったくせに、自分を勘違いしたまま大きくなった人なんてけっこうウヨウヨいますよね。こういう人は、早い時期に痛い目にあって現実と向き合う機会がないと本人も悲劇です。
子どもをきちんとした人間に育てるには、誉めるだけではだめだし、しかるだけでもいけないわけです。そうしないと、”大人の顔色だけを見て誉められようとするいい子”や“本質的な問題解決は上達せず、言い訳と粉飾だけは天才的な人”になりかねません。
個人も集団もうまくいっている時には、その成功体験にとらわれて「自分はこれでいいのだ」と自信過剰になってしまい、それがかえって失敗の原因になるのですね。
ただ、やはり挫折感が強くなっているときは、”小さな成功体験”を重ねることには強力な復活のエネルギー充電作用があるわけです。
へこんだ状態から脱したいとき、その方法のひとつとして「あんなにできていたことがあったじゃないか?」「あんなに評価されていた時があったじゃないか?」「あんなに他人に必要とされていた(愛された)時があったじゃないか?」などと過去の成功体験を意識的に思い出したり、他人にそれを確認してもらうことで小さな勇気が湧いてきたり、状況を打開するヒントが得られることも少なくないと思います。それは精神療法的にも極めて重要なことなのです。
みなさんも、行き詰まったときには、何か特別な方法にすぐ飛びつこうとするだけではなく、時には、当たり前のような小さな毎日のひとつひとつをもう一度大切に見つめなおしてみることで、違った視点が得られるかもしれませんね。
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