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HRの基礎知識

Vol.4従業員教育って、どれくらいの予算を使うもの?

教育予算は増加傾向にある

教育計画を立てていくうえで外せないのが、予算との兼ね合いです。ここでは、一般的な国内企業が従業員教育にかけている金額と、それぞれの教育形式でどのくらいの費用が必要となるのかを見ていきます。

2008年のリーマンショックの影響を受け、企業の教育予算は一時減少傾向にありましたが、不透明な先行きへの不安からか従業員教育に対する必要性を再認識し、2011年を底に、以降は微増傾向に転じています。企業あたりの教育費用の総額は、業種や規模による差はありますが、従業員一人あたりの教育費用として計算すると、大体3万円~5万円程度で近年は推移しています。

予算総額は企業の規模によって変動しますので、一般傾向としては従業員一人あたりの教育費用を参考にしておくとよいでしょう。この費用を、年間を通してどのように使うのかも考えながら、教育計画を作ることになります。

教育手法ごとの平均的な予算

教育手法ごとに、実施に必要な費用をまとめましたので、検討する際の参考としてください。(選択する研修会社やコンテンツにより費用は変動します)一人あたりの教育予算とあわせて考えてみると、年間で一人あたり2つか3つ程度の教育機会を受けられるようにするとよいでしょう。

①通信講座の平均予算
・一般テーマの講座:1~3万円/人
・階層教育用の講座:2~5万円/人
②集合研修の平均予算
・外部委託(20人参加):30~50万円/日
・外部派遣型セミナー:2~5万円/人
③Eラーニングの平均予算
・5千円~1万円/人

近年、従業員教育を安価に提供する教育会社も現れてきました。基本的には、学習コンテンツの量を減らしたり、学習フォローアップを簡略化することで見積もりを安くしているものとなります。教育の実施目的にもよりますので、どちらがよいとは言えませんが、簡略化とそれによる影響は認識しておく必要があります。

たとえば、同じテーマの研修であっても、安価なパッケージものより個別カスタマイズが可能なプログラムのほうが、職場の現状に合った実践的な学習が行えます。また、コンピューターが自動的に採点するEラーニングとプロの講師が個別に添削する通信教育では、学習意欲や効果に差が出てくるでしょう。

一般的な知識や能力を形式的に身につけさせるためであれば安価なサービスでよいでしょうが、受講者の意欲を引き出したり、実務での実用性を考えると、学習の成果が小さくなってしまう可能性が高いといえます。

2019年2月28日 公開