営業所勤務のJさん(38)は、この道15年のベテラン営業社員です。5年ほど前までは、トップクラスの成績をあげていたのですが、最近は鳴かず飛ばずの状態が続いています。上司のK営業課長(41)は、後輩を指導する立場のJさんにもっと頑張ってほしいと思うのですが、指導しようとしても、うまくはぐらかされてしまうようです。
K課長「Jさん、また先月の数字も目標未達ですよね。困るんですよ。こんなことじゃ。Jさんは、後輩のお手本になってもらう立場なんですから。どうして目標が達成できないんですか?」
Jさん「私も一生懸命やっているんですけどねえ。課長もご存知の通り、最近はお得意さまのところもコスト削減が厳しくって、以前だったら部品の在庫を多めにもっていたのが、ぎりぎりまで削っていますし…….」
K課長「しかしねえ、それはそうだけれど、そこを売るのが営業じゃあないですか。」
Jさん「ええ、そうなんですけど、例のZ商事さんなんかは、相見積もりにも勝手、仮契約まで行ったんですよ。でも、親会社のリストラ策の一環で、担当部長がはずされて、契約が白紙に戻ってしまって…….」
K課長「ただ、Z商事の場合には、君が、もっと早く話を進めておけば良かったんじゃないのかい」
Jさん「こうなるとわかっていたら、そういう風にもやったんでしょうけれど、私達も未来が見通せる訳ではないですから。特別、商談がゆっくりだったわけではないですし。課長は、私がちんたらやっていたとおっしゃるんですか?」
K課長「いや、そんなことはないけれど。」
Jさん「こんなご時勢ですから、昔のように毎月、目標達成を期待されても難しいんじゃないですか?他の営業所でも同じような達成率だと思いますが…..」
K課長「ま、まあ、そうだけど、とにかく今月は頑張ってくれよ。頼んだぞ。」
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