◆年金制度の改正はどのように行われるのか?

 年金は、個人にとって50年以上という長期にわたってかかわってくる制度です。数十年もたてば、社会情勢や経済情勢も大きく変わってしまいます。数十年先のことを正確に予測することは困難ですから、年金制度も見直しが必要となってきます。
 とくに、常に適正な水準を保ちながら年金を支給していくには、財源をしっかり確保することが不可欠です。
 そのため、公的年金は5年に1度、財政再計算を行うことになっており、新しく計算し直された数字に基づいて法律改正し、軌道修正します。5年ごとに年金法改正法案が国会に提出され、新聞・雑誌が年金の記事でにぎわうのはこのためです。前回の財政再計算は平成11(1999)年、次回は平成16(2004)年です。
 財政再計算は、国立社会保障・人口問題研究所が発表する「日本の将来推計人口」を根拠に行われます。このところ、発表されるたびに少子高齢化が予想以上に進んでしまうために、財政再計算も厳しい方向に修正される結果となっています。
 制度改正の手順としては、財政再計算の2年くらい前から厚生労働省で本格的な検討が始まります。学者や専門家などの有識者と労働団体代表、一般市民代表などから幅広く意見を聴いたり、検討してもらったりします。
 その結果を反映して案を練り上げ、財政再計算に基づいて年金改正法案が国会に提出されます。法案には、財政だけでなく制度全般にわたって必要な改正が盛り込まれます。国会で法案が通過・成立すると法律として施行され、制度の改正が行われることになります。
 平成11年の改正では、厚生年金支給額の5%削減、支給開始年齢を完全に65歳へ遅らせることなど厳しい内容が目立ちましたが、育児休業期間中の厚生年金保険料免除の完全実施や学生の国民年金保険料免除制度新設などの改善もありました。


弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

株式会社アイ・イーシー 東京都千代田区飯田橋4-4-15
All Rights Reserved by IEC
本サイトのコンテンツの無断転載を禁止します