◆公的年金制度のしくみ
公的年金の基本的な構造は、「基礎的な年金」と「上乗せ年金」の2階建てになっています。1階部分は国民年金(基礎年金)で、全国民共通の制度となっています。2階部分は民間サラリーマン対象の厚生年金と公務員などを対象とした共済年金があり、対象となる職業の人だけが加入します。
一般的な感覚では、民間会社に就職したら厚生年金、公務員になったら共済年金、自営業者は国民年金に加入するものだという気がします。そのとおりなのですが、実は1階部分は共通ですから、厚生年金や共済年金に加入すると特別な手続きはしなくても自動的に国民年金にも加入することになります。
このように、民間企業のサラリーマンは国民年金と厚生年金の2つの制度に加入していますので、受け取る年金も国民年金からの老齢基礎年金と厚生年金からの老齢厚生年金の2つになります。共済年金加入者も同じですが、共済年金から支給される老齢年金は退職共済年金という名称で呼ばれています。自営業者は2階部分の上乗せ年金がありませんので、国民年金のみの加入となり、1階部分の老齢基礎年金だけを受け取ることになります。
老齢基礎年金は、加入期間だけで年金額が決まりますが、2階部分の厚生年金や共済年金は加入期間と給与の額が年金額に反映されます。さらに共済年金には職域年金と呼ばれる加算部分があります。
こうしてみると、国民年金だけの自営業者に比べて、厚生年金に加入している民間サラリーマンは手厚い年金が支給されることになり、共済年金に加入している公務員はさらに手厚い年金がもらえる制度となっています。
公的年金は、1階部分と2階部分がセットになっていますので、老齢年金だけでなく、障害年金や遺族年金も同じ構造になっています。障害基礎年金を受けられる場合には、障害厚生年金が上乗せで受け取れるようになっています。
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