◆公的年金と私的年金の違い

 年金は、大きく公的年金と私的年金とに大別されます。公的年金は、全国民を対象とした社会保険制度の1つとして国の責任で実施していく制度です。一方、私的年金は企業や個人が自由に導入や加入を決めて、実施したり加入したりします。

 公的年金と私的年金の最も基本的な違いは、公的年金が老後生活の資金的な柱とされているのに対し、私的年金は公的年金を補うものとして位置づけられていることです。公的年金が主役、私的年金が脇役ということです。
 つまり、日常の生活費は公的年金で大かたまかない、旅行費用などゆとり部分の費用を主に私的年金で捻出していこうという役割分担です。 公的年金は、国民全体で支え合う社会保険ですから、国民全員が加入し、同じルールにしたがって保険料を負担したり、年金を受け取っています。老後の生活資金としての役割がありますから、生活資金の柱にできる支給水準が求められます。

 一方で現役の加入者に過度の保険料を負担させることもできません。そのため、公的年金の財源には国庫負担分(税金の補助)があり、一定のバランスを保つ機能を果たしています。
 公的年金独自のメリットとしては、年金額の物価スライドがあります。物価スライドとは、物価が上がればその分支給額も増えていくしくみのことです。私的年金には、このような制度はありません。

 年金の支給期間については、公的年金が死ぬまでもらえる終身年金であるのに対し、私的年金は、支給期間が限られた有期年金が多くなっています。 また、私的年金は一部または全部を一時金でもらえる制度設計になっているものが多く、年金と一時金の選択が可能となっています。公的年金では年金として受け取ることしかできず、一時金を選択することはできません。

 

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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