◆情報家電
ナレッジマネジメント(以下KM)とは、企業が社内外の「知」を活用して、企業の価値を高めていくための一連の管理プロセスです。この場合「知」とは一般的にいう知識や情報ではなく、組織経営、企業活動に関する価値あるすべての情報を指します。「知」は人、モノ、カネ、情報の次にくる第5の経営資源として位置づけられ、新しい時代の競争力の源泉として注目されています。
KMの基本概念として「形式知」と「暗黙知」があります。形式知は、マニュアルや報告書のように、言葉や文字で表現できる知であり、暗黙知とは、個人の経験やノウハウ等言語化や形式化が難しい知を意味します。そして野中郁次郎氏によると暗黙知と形式知が次の四つのプロセスの相互作用することで知識創造されます。個人の暗黙知からグループ個々人の暗黙知を創造する「共同化」、暗黙知から形式知を創造する「表出化」、個別の形式知から体系的な形式知を創造する「統合化」、形式知から暗黙知を創造する「内面化」というものです。そして、このサイクルをスパイラル的に繰り返していくことが重要だとされています。
KMがマーケティングと深く関わっているのは、もともとKMの最終目的が「顧客満足の追求」だからです。ウォルマートは、店舗内におけるショッピングカートの動きをITの活用により追跡してデータを蓄積し、その分析結果に基づいて顧客が買い物をしやすい売場のレイアウトを検討します。これはKMを顧客満足に直接的に使っている好例と言えます。
またKMの実現には、知のデータベース化とその分析ツール、それを組織の隅々まで送り届けるネットワーク等のITが不可欠です。単なる効率化ではなく、人間の知恵を引き出して顧客満足を高めることに焦点をあてたKMは、IT時代のマーケティングの概念や方法論のさまざまな部分に連結してくると言えるでしょう。
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