◆ブロードバンド

 21世紀に入ると、ADSLやCATV等一般家庭においてはそれまで比較的高速の回線だったISDNを大きく上回る大容量のインフラの整備が急速に進んできました。

 21世紀のスタートはこれら高速な通信インフラのさらなる普及と、そのネットワークを使ったサービスが広がる時代の始まりという意味では「ブロードバンド時代の幕開け」と言われています。ブロードバンドによりこれまでのインターネットでは実用的ではなかった映像や音声などの大容量のデータ(コンテンツ)もストレスなく送受信でき、ビジネス、教育、医療、福祉、そして家庭生活等さまざまなシーンにおいて変革が起こることが予想されます。

 マーケティング活動においても例外ではなく、動画を使った電子カタログや、コマーシャルの配信等従来に比べて格段に豊かな表現による顧客コミュニケーションが実現する等可能性は大きく広がっています。

 しかし、これらはあくまでブロードバンドの可能性から見たものであり、一方ハードルが高くなる面も考えられます。例えばウェブサイトに動画を組み込んでいく場合、良質なコンテンツを制作するためにはこれまでのHTMLとは比較にならない大きなコストや手間が必要となるでしょう。そうなると、ブロードバンドを使ったマーケティングが採算面で有効なのかという疑問がわいてきます。

 また、コンテンツ配信に対して課金をするモデルの場合、これまで無料の情報に慣れてきてしまった消費者の心理を「動画だから」という理由だけ変えるのも難しいかもしれません。携帯電話における有料コンテンツの課金のように、デバイスを変える等の工夫が必要になるでしょう。

 ブロードバンド時代の到来はマーケターにとって時代の変化を予感させる大きな関心事であることには間違いありませんが、事業全体の中での費用対効果等その有用性を多面的に検討した上での着手が必要です。

 これはクリック&モルタルが目指す成功パターンと言えますが、実現させるためには実店舗とネット店舗との在庫や顧客対応の統合が不可欠であり、そのためのシステムや体制の整備が必要となります。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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