◆クリック&モルタル
IT時代の到来により、米国をはじめインターネットがあたかも「打ち出の小槌」のように熱い視線を浴び、思いつきに近いビジネスまでが、計画が不十分なままに多くの資金を調達して、大規模なプロモーションにより事業展開を進めていました。
しかしこれらの成功の多くが幻想であったことに社会が気づいた2000年春、米国ではドットコムバブルの崩壊という形で多くのネット企業が倒産していき、日本もその余波を受けました。冷静に考えると当然ですが、ネットのみでビジネスが完結することはほとんどの場合現実的ではなかったのです。
夢からの覚めたその状況下で注目されたのが「クリック&モルタル型企業」です。「クリック&モルタル」とは、伝統的な企業を意味する「ブリック&モルタル」の「ブリック」を、「クリック」に置き換えた造語で、実店舗等リアルの世界で事業を営む企業が、本業にインターネットを取り入れることでビジネスを効率化したり新たな市場を開拓したりすることです。
クリック&モルタルの方向としては、既存店舗とは異なる新規顧客層をネットで獲得しようとするもの、ECは行わず実店舗のブランド浸透や収益拡大をネットでサポートするもの、カタログ販売からネット販売に切り替える等より低コストのチャネルに顧客を誘導するものがあります。
さらに最も注目すべき方向としては、顧客がリアル店舗でもネットでも購入できるという販売チャネルの拡大と統合です。これにより一人の顧客を多角的に把握しながら、リアルとネットとをうまく連携させたサービスを提供することで顧客のロイヤルティを高め企業の利益も向上させるという方向です。
これはクリック&モルタルが目指す成功パターンと言えますが、実現させるためには実店舗とネット店舗との在庫や顧客対応の統合が不可欠であり、そのためのシステムや体制の整備が必要となります。
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