◆秘密情報の管理

 技術仕様書や実験データ、顧客データなどの秘密情報の漏洩は、企業にとって大きなリスクとなります。培ってきたノウハウが流失してしまうだけでなく、会社の社会的信頼をも失墜させてしまうからです。

 最近は、社内LANとインターネットが普及したことから、社外からも会社のデータベースにアクセスすることができ、膨大なデータもディスクなどを使って容易に持ち出せます。これに加えて人材流動化の影響で、転職時などに秘密情報が持ち出される可能性が高まっています。

 企業の秘密情報が盗まれるケースとしては、ハッカー、産業スパイ、ライバル企業、犯罪者、取引先など外部からのものもありますが、実際に多いのは社内の人間が持ち出すケースです。

 持ち出す理由としては、
@社員が金儲け目的で顧客データなどを他社に売り飛ばす
A社員が転職・独立先で応用するため
B誤って外部にメールしてしまう
C重要書類を置き忘れる
 などが考えられます。

 多くの大手企業で秘密情報の漏洩が起きており、秘密情報管理を強化する動きが出ています。全社員を対象にして、コンピュータを利用するうえでの情報管理に関する教育を行う会社も増えています。ほかに情報漏洩の対処策としては、次のような方法があります。

@データなどシステム面……外部からの不正アクセスの監視を強化、社員の電子メールを監視、データの暗号化推進など。機密情報つきのメールは送信できないソフトを導入する。

A社内管理面……秘密保持の指針を作成、社員・退職者と秘密保持契約を結ぶ、情報持ち出しの罰則規定を強化、研究者が勝手に海外に行かないよう旅券を管理する、重要書類の管理を徹底するなど。

 秘密情報は、自分が開発したり集めた情報でも、外部には持ち出してはいけない会社の重要な財産という認識をもつことが大切です。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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