◆待遇と労働条件

 社員の労働条件や待遇について、就業規則や労働基準法の定めに反した扱いがなされている企業は多く存在します。

 とくに、知識労働者やシステムエンジニア(SE)などの職種で問題になるのが過剰労働です。最近は、裁判所による過労死の労災認定基準が緩和されていることから、社員の自殺などが過労死認定され、遺族から巨額の損害賠償を請求されるというリスクが発生します。

 数年前、大手広告会社の若手社員が自殺した事件で、遺族の長時間労働から鬱病になり、自殺したという会社への訴えが認められ、1億円以上の損害賠償が認められました。判決では、連日の徹夜残業などの過剰勤務を会社は把握していたものの何も措置をとらなかったとし、「従業員に対する安全配慮義務違反の過失責任がある」とされました。

 1995年に労働省が通達した過労死認定では、従来よりも過剰労働の評価と期間が拡大され、不整脈も対象とするよう変更されています。

 このため、過労死認定は毎年増えており、会社としては過労死で安全配慮義務違反を問われないために、労働安全衛生法上の義務となっている定期検診を確実に行う必要があります。過剰労働を改善するのはもはやあたりまえで、社員の健康管理にも気を配ることが企業の責任となっているわけです。

 また、社員の待遇に関しては改正男女雇用機会均等法によって、次のような女性の差別的扱いが禁止となったので注意が必要です。

@女性であることを理由に配置転換における男女差をつけてはいけない

A婚姻、出産、年齢を理由に女性を排除、あるいは不利は配置転換をしてはいけない

B社内昇格試験などにおいて、女性と男性で異なる扱いをしてはいけない

 要は、一切の待遇差を禁止するもので、これに違反すると、罰則はありませんが、厚生労働省から違反企業として社名を公表され、社会的な制裁を受けることになります。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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