◆採用と雇用契約

 人材流動化の時代と呼ばれ、転職が当たり前となったいま、採用に関するトラブルは企業にとって大きなリスクとなっています。スキルや経験が採用基準となり、雇用形態も正社員、契約、派遣と多様化、給料も成果給に変わるなど、労務管理が複雑化してきているからです。
 
 労働基準法では、労働契約の内容を書面で明確に伝えることを義務づけています。明示しなければならないおもな条件は、@賃金、A労働時間、B就業場所、C業務内容、D始業・終業時間、D休息時間、E休日、F休暇、G昇給、H退職です。
 
 しかし、実際にはこれらの項目をすべて明示しての雇用契約は困難なため、よく採用後に「約束どおりではなかった」というトラブルが発生します。
 
 会社としては「見込み違いだから仕方がない」と片づけたいところですが、採用時に明示した条件と異なれば契約違反ですから、損害賠償責任が発生します。採用時には、雇用契約の中身をしっかりと確認することが、会社にも個人にも大切なリスク管理策となるわけです。 
 
 また、企業の採用活動においては1999年に改正された男女雇用機会均等法への対処も大切です。これは採用や雇用環境において男女の区別を禁止するもので、採用では以下のことに気をつけなければなりません。

 @募集にあたって女性であることを理由に排除してはいけない

 A求人数において男性・女性別に人数を設定してはいけない

 B年齢、婚姻の有無などに関して女性に対して男性と異なる条件を出してはいけない

 C求人の広告や説明において、男性と女性が異なる扱いをしてはいけない

 D採用試験や面接で、女性と男性を異なった方法で行ってはいけない
 
 たとえば「男性30歳まで。女性25歳まで」という求人広告は明らかに違法となるので注意が必要です。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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