◆就業規則と労働基準法

 企業が社員の基本的人権を守ることは、社会的責任でありコンプライアンス経営の基本です。

 雇用関係は、個人と会社のお互いの自由意思による契約によって発生します。しかし、自分の労働力を会社に提供して生活する労働者は、経営者と比べ弱い地位にあるため、さまざまな労働法によって労働者の権利が保障されています。労働法のなかで、労働条件など基本的雇用のルールを定めた法律が労働基準法です。

 労働基準法では、企業は就業規則をつくり、これを労働基準局に届け出て、社内で周知することが義務づけられています。この就業規則には、絶対的記載事項として@労働時間・休日など、A賃金、B退職に関する条件のほか、採用に関する事項、服務規律、人事異動に関する事項があります。

 就業規則はいわば社内の法律ともいえますが、いくら社内で同意ができていたとしても、労働法に触れる条件は違法となり、罰則や是正が行われます。つまり、労働法は会社が絶対に遵守しなければならないものです。

 しかし、実際には時間外手当を100%支給していないなど、労働法違反をしている企業は少なくありません。労働法を守ることは、リストラを不当とする訴訟などのリスクを回避するだけでなく、有能な人材を確保するためにも重要なことです。

 労務管理としては、就業規則の遵守状況をチェックし、労働条件に関する社内の意見を定期的に聞き、規則を見直していくこと。こうして、社員の人権を守っていくことが望まれます。

 また、社員としては就業規則をよく読み、遵守することが第一です。就業規則には、競合他社でのアルバイトの禁止や備品の私用目的での持ち出し禁止など、サラリーマンが犯しやすい違反行為が記載されていたりします。 

 社員も会社も、まずは労働法と就業規則を遵守し、徹底していくことがコンプライアンス経営の下地となるわけです。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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