◆食品衛生法をめぐって
O-157、遺伝子組換え食品、狂牛病など、食品の安全性に消費者の関心が高まっています。
工場の衛生管理の不備から食中毒事件を起こした飲料メーカー、飲料水に工業用水を使っていたテーマパーク。これらの不祥事が広く世間を騒がせる事態に発展していることからも明らかなように、食品に関するリスク回避は、いまや企業にとって大きな課題です。
食品安全の基本となる法律としては、食品衛生法があります。この法律では大きく、・飲食に関わる衛生管理、・食品添加物の指定、・農薬の残留基準が定められています。
たとえば、第4条では、「腐敗、有毒物質を含むもの、病原微生物に汚染されたもの、不潔な食品や添加物は販売してはならない」とされています。対象品目は、食品、食品添加物、器具および容器包装、おもちゃ(乳幼児が接触するおもちゃ)、洗浄剤などです。
このような衛生安全管理の対策としては、大手の食品会社が導入しているHACCP(ハセップ)が有名です。これは、そもそもはNASA(米航空宇宙局)の宇宙船パイロットの食事で食中毒をなくすシステムで、東京都衛生管理局でもガイドブックを発行しています。
また、食品に関して最近問題となっているのが商品の表示方法です。国産牛表示に、外国産の牛肉を混入したり、賞味期限を伸ばしたりする違反があとを絶ちません。表示に関しては、現行のJAS法では違反を抑止する力が弱いという制度上の不備が指摘されています。
しかし、昨今はこれが発覚したときの社会的な信頼の失墜は、計り知れないリスクとなるのは明白です。ある百貨店の生肉売り場では、マネジャーが成績を上げるためにパート従業員に指示し、普通の豚を値段の高いハーブ豚と表示を偽って販売していました。
食品衛生や食品の表示に関する違反行為は、消費者の信頼を裏切ることを意味します。この点を肝に銘じて、消費者の安全や健康に貢献する意識をもつことが欠かせません。
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