◆特定商取引法をめぐって

 セールスパーソンが消費者の自宅に訪問して商品を売る訪問販売の市場規模は1兆円を超えているといわれます。
 これら訪問販売は、店舗販売と異なり、もともと買う心積もりがなかった人と契約を交わすため、トラブルになりがちです。
 昨今では、電話やはがきで消費者を呼び出して契約を勧誘するキャッチセールスや、商品説明会で雰囲気を盛り上げて高額衣料品などを売りつける催眠商法など、悪徳な訪問販売形態も登場して社会問題化しています。
 そこで、1976年に訪問販売法が施行され何回かの改正を経て、規制の内容が強化されてきています。そのなかで、とくにセールスパーソンにとって重要な規制は次の3点です。
@氏名などの明示義務……消費者に訪問販売をするときは最初に「○会社の田中ですが、本日は△のセールスに伺いました」と名乗らねばいけません。「調査に来た」などと告げて話し始める行為は、違反となるわけです。
A書面の交付義務……契約をしたときには、商品の内容、金額、支払時期、解約などについての書面を消費者に交付します。商品や説明に偽りや、不備があると罰則となります。
Bクーリング・オフ制度……セールストークに巻き込まれて契約することも多いため、消費者が後から冷静に考えられるよう、契約から一定期間は理由なく解約ができる制度が設けられています。
 クーリング・オフは、通常の訪問販売では8日間で、化粧品など一部の商品を除いて、3000円以上ならほとんどがその対象となります。
 訪問販売では消費者保護の観点から、商品の内容や解約方法などを事前によく説明することが不可欠です。これを怠ると、クーリング・オフ期間を過ぎても解約を求められたり、消費者センターに苦情を持ち込まれるなどのリスクが発生します。
 訪問販売では、常に契約解除のリスクがあることを認識しておく必要があります。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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