◆PL法をめぐって

 販売した商品によって製品事故が起きることがあります。製品事故とは、商品に何らかの欠陥があったため、それを使った消費者に生じる事故といえるでしょう。

 かつての民法では、このような事故の製造業者への損害賠償責任は、被害者がメーカーの過失・故意を立証する必要があったため、訴訟になることは滅多にありませんでした。

 しかし、平成7年に製造物責任法(PL法)が施行され、被害者の立証責任が軽減されました。これによって、メーカーは製品事故によって重い賠償責任に見舞われるリスクが出てきました。たとえば、カラーテレビの出火から死亡事故に至った訴訟で、テレビの製造メーカーに2000万円の損害賠償が認められたケースがあります。

 PLリスクへのマネジメントで、もっとも重要なのは欠陥品を出さないことです。とくに、設計上の欠陥をなくすことが重要です。

 たとえば日本マクドナルドでは、子どもが被って窒息しないようすべてのビニールに小さな穴を開けたり、子どもに配るおもちゃは飲み込めないサイズ以上の大きさの部品を使うなどして、PLリスクへの対策をしています。

 このように、消費者の立場に立った視点からの商品づくりが大切なのです。

 また、販売する営業担当者にとっても、商品の安全を提供するのは当たり前のこととして、その正しい使い方や安全対策に関する説明を怠らないようにすべきでしょう。

 もし、製品事故が消費者や諸費者センターなどから連絡されてきたら、まずは被害の事実関係の調査と、事故が広がらないための対策が必要です。

 消費者からの事故報告には悪質なクレームも含まれていたりすることもあり、適切な対応が求められます。

 へたに先入観をもつことなく、必要に応じて弁護士に相談するなど、それぞれの事案ごとにきめ細かい対応を考えるべきでしょう

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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