◆消費者保護とは何か
契約の自由が支配するビジネスの世界でも、消費者は弱い立場にあるため、これを保護するために法律で規制がなされています。
消費者が弱い立場にあるというのは、企業が商品やサービスについて最新の情報、高度な知識・技術を持っているのに対し、消費者はそれらの情報を得る機会が少ないからです。そのため、消費者の利益だけでなく、生命や生活をおびやかすさまざまな消費者問題が発生してきました。薬害事件や詐欺商法などが典型例です。
このような消費者を保護するための基本となる法律が、消費者保護基本法です。
この法律は「消費者の利益の擁護と国民の消費生活の安定および向上を確保すること」を目的に、@危険防止のための措置の整備、A表示の適正化、B公正な競争の確保をおもに規制するものです。
@は消費者に提供する商品の安全性の確保。要は危害を与える可能性のある商品は売ってはならないというものです。
Aは商品の表示、説明、広告などの適正に関するものです。たとえば、誇大広告や商品の原産地が違っていたりすると、消費者は著しい不利益を被ります。
Bは企業が談合など不適正な競争をすることで、消費者に不利な価格やサービスを強いることを規制するものです。
この法律で重要な点は、民法で保証される契約自由の原則が修正されることです。つまり、いくら契約書を交わしたといっても、表示や説明において不備があれば契約が無効になることもあるわけです。
営業担当者であれば、「商品のいい点だけ説明して早く売ってしまおう」と考えがちです。しかし、それでは消費者保護の責任を果たしたことにはならず、契約解除の訴えを起こされないとも限りません。
消費者に対して誠実であることは、企業の社会的責任であり、また営業担当者個人の責任でもあるわけです。
|