◆部門別コンプライアンス体制・・・・・生産部門

 一般に生産活動といえば、工場における製品の製造が中心となります。もし、工場で火災が起きたり、爆発したりすると、生産活動はストップし、企業の収益に大きなダメージを被ります。しかし、それだけなく工場周辺の住民や工場で働く社員に被害が出れば、損害賠償という法的リスクが生じます。

 1999年に起きた東海村のJOC核燃料施設の臨界事故では、周辺住民が避難したり、社員が死亡するなど大きな被害が出ました。日本中を震撼させる事故でした。 このケースでは、核を扱うだけに厳重な作業マニュアルが存在していたのですが、これが守られず、手抜きといえる裏マニュアルが存在していたのが大事故につながってしまいました。

 また、2000年にはずさんな生産管理から、食品メーカーが集団食中毒を起こしました。通常、工場においては作業マニュアルが確立しているものですが、それが守られているかどうかの保証はありません。また、守られていたとしても、予期せぬ事故は起きるものです。

 そこで求められるのは、日頃から現場レベルで問題点を発見し、見直す姿勢です。生産ラインにおいて、事故がおきたり、何らかの不適合・不整合が見つかったら、まずその原因を特定します。そして、再発防止策を現場の人間が考え、工場長などの責任者がフォローアップの監査を行うことです。

 生産現場においては、マニュアルを正確にこなしていくと同時に、1人ひとりが製造工程に責任を持っているという姿勢を持つことがコンプライアンス上とても大切です。昨今、企業の製造活動を巡る法的環境は、製造物責任法、環境法、リサイクル法と、一段と厳しくなっています。たとえば、土壌汚染が明るみになると、元に浄化するための膨大な費用が必要となります。
 今後は、消費者の目、社会の目を持って常に安全性をチェックしていく姿勢がますます重要になるでしょう。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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