◆部門別コンプライアンス体制・・・・・管理部門

 管理部門は、コンプライアンス経営上極めて重要な役割を持っています。

 たとえば、総務部門です。これまで大企業の総務部というと、総会屋対策セクションという位置づけのところも多くありました。総会屋にお金を配ったり、接待をしたりして、株主総会を無難に乗り切るのが仕事の1つでした。
 しかし、当然のことながら総会屋や暴力団の脅しに屈してお金を渡せば、商法上の利益供与罪に該当します。さらに、株主からは不当な方法で利益を損失したことによって、代表訴訟を提起されるというリスクもあります。
 もし総務部が総会屋担当であるなら、コンプライアンス・オフィサーという形に衣替えし、民事介入暴力を得意とする弁護士などと連携し、毅然とした態度で交渉をしていくことです。

 ほかにも、総務部には印鑑管理、社内規定管理、株券管理などの役割があります。
 これらの業務はコンプライアンス上、極めて重要な職務なので、法務部門や監査部門、顧問弁護士などと連携し、遵法体制の向上に貢献していくことが期待されます。
 以下、おもだった管理部門におけるコンプライアンス上の大切な視点を紹介します。

@情報管理部……顧客情報や営業秘密がデータ回線などを使って競合他社に漏れる危険。あるいは、営業上のシステムがダウンすることで、顧客に対する損害が発生するリスクなど。

A法務部……文書管理などの予防法務、コンプライアンス統括部門としての役割

B製造管理……環境アセスメント、リサイクル問題などへの対応

C財務・経理部……社員の経理上の不正、節税のつもりが脱税となり重加算税を課せられるリスク、粉飾決算を行うリスクなど

D広報部……マスコミなどへ的確な情報開示をしないことによって、会社の信用が失墜するリスク。不祥事が起きたときの対応ミスなど。

EIR部……不利な事実や重要な事実を隠すことで、株主からの信頼を失うリスクなど。

弊社刊「図解でわかる100シリーズ」より

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