◆個人情報保護法の背景
1980年にOECDで個人情報の取扱に関する8原則が示されました。その後、IT技術の発展に伴い、1995年にヨーロッパ委員会によりEU指令が発令されて、世界的な個人情報保護の流れが形作られました。
個人情報保護法は正式には「個人情報の保護に関する法律」といいます。紆余曲折を経て、平成15年5月に成立しました。初めて国会に提出されてから2年が経過していました。
個人情報保護法が制定されることになった発端は、諸外国における個人情報保護への関心の高まりとともに、住民基本台帳法の改正にあります。
1999年6月に住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を実現する住民基本台帳の改正案が衆議院を通過しました。しかし、住民基本台帳のデータ(住基データ)を電子化しサーバにより集中管理することによって、ネットワーク上にデータが飛び交うことになります。こうなると、住基データが流出するという事故が起きた場合に、大量の個人情報の漏えいが発生するリスクが考えられます。そこで政府としては、このような国民の不安の声に対し、住民基本台帳の改正案公布の前提として、個人情報の収集や利用などを包括的に規制する「個人情報保護法」を3年以内に制定することを約束し、改正住基法の付帯決議としました。
個人情報保護法は成立に至るまで、2年の歳月を要しました。これは、個人情報の保護を盾に、必要以上に報道や言論を規制するとの危惧が広がったためです。報道機関を含めた包括的な「基本理念」を丸ごと消した形で、再提出され、成立に至りました。
平成15年12月には「個人情報の保護に関する法律施行令」が制定されました。これにより、個人情報取扱事業者がより具体的に定義されるなど、法律の形が整いました。また、平成16年4月には「個人情報の保護に関する基本方針」が閣議決定され、個人情報取扱事業者が何をすべきか具体的な指針が示されました。この中で、プライバシーポリシーの策定、個人情報保護管理者の設置、従業者への教育が重要であると述べられています。
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